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  三番瀬研究所研究室

三番瀬の保全開発  その基本的方向性 
安達宏之(三番瀬研究所)
1998年公開
はじめに

 様々な問題が交錯する三番瀬を将来にわたってどうすべきか。
 これまで、三番瀬研究所では、問題対応的にその都度提言等を行ってきたが、ここでは改めて、三番瀬の有する価値にどのようなものがあるかを明らかにするとともに、それを踏まえて、三番瀬の「保全開発」の基本的方向性について概説する。
 なお、論述の基礎となる三番瀬のデータについては、当ホームページにて近日開設予定の「資料室」において取り上げる予定である。

1 三番瀬の多面的価値

1−1 生態系からみた価値

(1)負荷は多いが豊かな生態系を維持している

 これまでに、三番瀬において342種の生物が肉眼で確認することができた。東京湾の湾奥部でこれだけの生物がいる海域がほかにないことは言うまでもないが、全国的に干潟浅海域の減少がすすむなかで、海浜生物がここまで生息できる環境は極めて少ない。
 種類ばかりでなく、生物量も豊富である。アサリなどの二枚貝の生息量は海底1平方メートル当たり平均約1キログラム、多いときで10キログラムにもなる。また、イシガレイなど浅海域魚類の数少ない産卵成育の場となっている。
 それらを餌とする渡り鳥も多数渡来し、たとえばスズガモは毎年数万羽が渡来している。さらに、シギ・チドリ等の渡り鳥にとって、三番瀬は極めて重要な中継地として活用されている。
 このように、三番瀬は生物が実に豊富で、現在においても豊かな生態系を維持しているのである。
 ただし、留意すべきは、この豊かな生態系が、埋め立て土地造成による周辺干潟浅海域の極端な減少や、周辺陸部からの富栄養化水の流入により、絶えず負荷がかかっていることである。このことにより、高度成長期以前の、漁師から「魚のわく海」と言われていた江戸前の海と比べると、一定の機能減は否めない。しかし、希少となった浅海域だからこそ、生物学的価値は却って増加したと考えるべきである。

(2)東京湾奥の生態系を支えている

 前述の通り、埋め立てによる干潟浅海域の極度の減少は、とくに東京湾奥で顕著であり、結果として現存する干潟浅海域がそれまで湾奥全体の干潟浅海域が担っていた生物学的役割をほぼ一任されることとなっている。なかでも、三番瀬は、湾奥に残る最大規模の干潟浅海域であり、その役割は重要である。
 たとえば、三番瀬は魚類の再生産を行い、湾奥における再生産の中核海域として機能しており、鳥類の中には三番瀬を中心に周辺湿地を利用する種もいる。あるいは、三番瀬の二枚貝(幼生)が周辺海域に供給されている可能性もある。
 しかも、一部地域で整備されている人工海浜・干潟と比べて、天然干潟浅海域である三番瀬の機能ははるかに高く、人工的に代替することはきわめて困難と言わざるをえない。

(3)東京湾の水質を浄化している

 東京湾は周辺の大都市から排出される生活排水や産業排水などによって、リンや窒素などの栄養塩類が増加し、植物プランクトンが増殖する富栄養化がすすんでおり、その意味で水質環境が悪い。
 三番瀬では、アサリやバカガイなどの生物がこれらを消費し、また人間の行う漁業や潮干狩りが海水から窒素を除去するなど、豊富な生物活動に支えられ、さらに浅海ゆえの波浪による大気と海水の循環があることで、水質悪化を緩和し、浄化する機能を有している。
 
(4)青潮の被害を緩和している

 青潮とは、海底の貧酸素水塊が海面に湧昇する現象のことで、東京湾では主に秋口に、季節風(北東風)の影響により生ずる。漁業資源を含めた海中の生物は、酸素を絶たれ大きな被害に遭うことになる。
 この青潮の被害を三番瀬は緩和している。青潮の発生・拡大の過程において、海域を移動可能な生物は、三番瀬に避難する。これは、干潟・浅瀬である三番瀬では酸素量が豊富で、青潮が入ってきてもそれが拡散しやすいためである。
 なお、付け加えれば、一部関係者が三番瀬を「青潮の巣」と主張しているが、この見解は必ずしも正しくない。三番瀬の海岸付近に死滅した大量の生物が打ち上げられることがあるが、これは、青潮の威力があまりに強大で、三番瀬で生活する大量の生物や青潮から三番瀬へ避難してきた生物が死ぬことにより生じる現象である。埋立地に囲まれているため海水の交換が悪い行徳側海域の一部で生じる小規模の貧酸素水についてのみ指摘しているのであればともかく、一般的に三番瀬をまるで青潮の発生源かのごとく捉えているとすれば、明らかな誤りである。

(5)後背湿地の豊かな自然を支えている

 三番瀬周辺には、ごく近辺に谷津干潟(ラムサール条約登録湿地)や行徳野鳥保護区、江戸川放水路、やや離れて三枚洲等、いくつかの湿地が点在しており、鳥類や魚類、エビ・カニ類等の生息地となっている。トビハゼのいる江戸川放水路(北限生息地)等、生物学的に貴重な湿地が多く、その保全を求める声が強い。
 いくつかの調査によって、たとえば鳥類が、三番瀬とこれら湿地を複合利用していることが明らかとなっており、三番瀬が提供する膨大な餌と広大な休息スペースが、これら鳥類の生息を支えていると考えられる。

(6)渡り鳥の貴重な中継地となっている

 三番瀬は、日本では残り少ない干潟浅海域であるために、渡り鳥の重要な中継地となっている。
 たとえば、浅瀬を採餌場とするコアジサシは、三番瀬を渡りの準備のための集結地として活用しており、いまや三番瀬が国内有数の渡来地となっている。スズガモは万単位で飛来し、首都圏最大規模である。干潟を採餌場とするシギ・チドリ類も同様で、昨今では環境庁も三番瀬に注目している。


1−2 地域経営からみた価値

 上記の通り、三番瀬は生物学的に見て様々な価値を有しているが、次に、そうした価値が地域(経営)に対してどのような効果を及ぼしているか考察し、地域経営における価値として改めて位置づける。
 
(1)水質を浄化し公害を防止している

 すでに指摘した通り、三番瀬の水質浄化機能は高く、都市のマイナス面を補完する機能を有している。

(2)都市住民の親水空間として機能している

 高度成長期の開発・埋め立ての結果、東京湾の海岸線へ人々が自由に立ち入ることは難しくなった。公共埠頭や企業用地に阻まれ、海岸線を見ることさえできない区域が多い。かりに海岸へ出られても、直立護岸のため、海水に触れることもできない。
 三番瀬では、海岸線を見ることのできる箇所が少なくないものの、そのほとんどは護岸整備されており、容易に海水に触れることは困難である。わずかに船橋海浜公園から前面の干潟へ行ける程度が現状であるが、駅から遠く、交通機関がバス程度とアクセスが悪い。公園を通らずに干潟域へ行けるルートも遮断工事が行われてしまった。
 それでも、休日になると、海浜公園からばかりでなく行徳や浦安の護岸からも、三番瀬には実に多くの人々が訪れる。潮干狩りやバードウォッチング、カレイやキス、ハゼを狙う釣り、船遊び、散策等、休日に家族や友人で、あるいは一人で気軽に行ける本物の自然として利用されている。三番瀬は、行政的な整備が不十分なまま住民の親水空間として実質的に機能しているのである。
 レクリエーション的な機能がないまち、あるいは、自然が少ないまちでは、定住志向の住民が増える見込みは少なく、バランスの欠けた人口形態のまちとなり、持続的な地域発展は困難と言えよう。とくに大都市圏において、「自然」という資源は絶対的に不足しており、それへの要望は強い。
 その意味で、三番瀬は、地域の存立に欠かせない「生活資源」であり、大都市の「観光資源」でもある。
 なお、三番瀬は東京湾奥及び後背湿地の自然環境を支えており、ここで言う「都市住民」とは、基礎自治体レベルの「住民」(数万−数十万)のみを指すわけではなく、「湾岸住民」(数百万−数千万)をも視野に入れた概念である。

(3)良好な景観を提供している

 戦後のわが国では開発志向が強く、景観が省みられることが少なかった。不調和な配色のビル群や派手な看板群が建ち並び、街並みは一変した。
 これに対して近年、良好な景観への要求が増大し、各地で景観条例などが出来つつある。歴史文化的な背景をもつ景観の価値が見直されてきているのである。
 三番瀬では、広大な干潟と空、10万単位のスズガモの飛翔、海上でのアサリ漁やノリ漁など、自然と人が醸し出す雄大な光景を目にすることが出来る。しかも、これら光景は、かつての江戸前の景観を不完全ながらも保存しており、歴史文化的な背景をも有するものである。

(4)第一次産業(漁業)を維持している

 すでに指摘したとおり、三番瀬は、アサリやイシガレイなど、漁業資源となる魚介類の産卵・成育の場である。また、青潮の被害から、三番瀬は漁業資源を保護している。これらのことから、三番瀬は第一次産業(漁業)の維持に極めて大きく貢献していると言える。
 これらの機能は、千葉県内の漁業だけでなく、神奈川県内の漁業にも好影響を与えている。三番瀬のほかに、湾奥では大きな干潟浅海域が存在しないからである。

(5)国際交流の場として活用できる

 谷津干潟をもつ習志野市が現在、同じ渡り鳥の飛来地であるオーストラリアの都市と国際交流を行いつつあるように、渡り鳥等の生物を通した国際交流が近年盛んとなっている。
 また、地域レベルでの地球温暖化対策への取り組みが各地でとりおこなわれているが、そのひとつとして、アマモ群落やアシ原等を有する干潟浅海域の二酸化炭素削減機能が注目されている。
 谷津干潟よりもはるかに広大な三番瀬は、その自然環境を活かした国際交流をはかる潜在的な機能(価値)がある。


2 三番瀬の保全開発 その基本的方向性

2−1 三番瀬の保全開発を行う

 「三番瀬の保全開発」を論ずるにあたり、そもそも「保全開発」、すなわち新たな人為的な改変が必要か否か問題となる。
 これまでの考察により、三番瀬は、生物学的に極めて重要な存在であるが、現状では人為的な負荷が過多であることが明らかとなった。すでに存在する負荷を軽減し、代替する措置が求められているのである。
 また、地域経営の観点からも三番瀬は様々な価値を有しているものの、生物学的な価値減退がこれら価値の減退をも招きかねない。同時に、三番瀬は活用できる「資源」であるにもかかわらず、実際は活用しきれていない側面があることも明らかとなった。
 したがって、現状の三番瀬には、下記の通り一定の人為的な介入が必要である。

2−2 三番瀬の多面的価値を活かす

 三番瀬の保全開発にあたっては、これまで指摘した三番瀬の多面的価値を活かすことをその基本的方向性とする。トータルプランの策定時はもとより、個々の事業の計画策定、実施、事業終了後の点検等に際しても、常にこれら多面的価値にフィードバックし、事業の検証・改善を行う基本材料とする。
 ただし、内湾の生態系や生物の生活史にはまだ謎も多く、その人工的な改変のモデルケースも多いとは決して言えない状況であることにかんがみ、その調査研究体制を充実させ、政策へ反映させることが重要である。
なお、これら手続をオーソライズし、住民の合意形成を円滑にはかるために常にアカウンタビリティに留意することは言うまでもない。情報の共有化をはかりながら、住民と研究者、行政のパートナーシップを築くこととする。 

2−3 負荷をこれ以上増やさない

 価値を活かすためには、それを脅かす負荷をこれ以上増やさないようにする施策を講じなければならない。とくに三番瀬は、負荷の多い東京湾奥に位置し、今以上の厳しい対策を講じるべきである。
 富栄養化問題について言えば、一向に改善されないリン、窒素等の流入負荷の減少のために、今以上の厳しい施策を、閉鎖性水域の東京湾では、三番瀬周辺ばかりでなく、湾および流入河川域全体で行う必要がある(広範囲における地域特性に応じたきめ細かい排水処理システムの構築等)。また、富栄養化がアオサの増殖を誘発し、大量に腐敗したアオサがさらに環境悪化を招いており、栄養塩類の流入防止とともに、中短期的には、アオサの定期的な除去も行うべきであろう。

2−4 価値を活かし、発展させる

 前項(2−3)を前提とした上で、三番瀬の価値を活かし、発展させる施策を展開する。

(1)生態系保全のための施策

 三番瀬の様々な価値の前提にある基底的価値「豊かな生態系」を、さらに推し進めるための施策を展開する。
 具体的には、たとえば、未使用航路跡や埋め立てによる形状変化で深くなった海底を埋め戻し、本来の海岸形状を回復する。人工的な干潟・浅海域は、本来の自然干潟・浅瀬に比べて、極めて低い機能を有するのみであるが、人為的に深くなった箇所を放置しておくよりは埋め戻しを行う方が賢明であろう。これは、景観や親水の点からも行われるべきである。また、青潮の発生源をなくす意味でも効果的である。
 また、いまではわずかに残るにすぎないアマモ類を新たに移植し、藻場を育成する。これにより、魚類や貝類、エビ・カニ類等の産卵・成育の場が確保され、また容存酸素量(DO)が増加し、良好な生息環境となる可能性がある。
 同時に、土地造成で極端に減少したアシ原を海岸地帯につくり、その一部をたとえば稚魚などの生息場として取り扱えば、一定の生物量の増加が見込まれる。 

(2)水質浄化のための施策

 上述の藻場・アシ原の配置について、これを生態系保全のための施策とのみ捉えるべきではなく、同時に東京湾の水質浄化策としても捉え、栄養塩類の取り込み施設としても併せて位置づける。
 藻場は、海中のリンや窒素を吸収し、酸素を排出する植物群落である。植物に東京湾の流入負荷を削減させるのである。
 アシ原も基本的には同じことであるが、とくにアシ原の場合には、東京湾への流入水(下水)をこのアシ原を蛇行させながら通過させるように配置する(併せてアシの定期的な刈り取りを行う)。こうすれば、三次処理を備えた下水処理場として機能することとなる。

(3)青潮の被害緩和のための施策

 前述の施策はどれも、青潮被害の緩和につながるものでもあるが、それと併せて次の施策を講じる。
 かつての埋め立ての際に、必要な土砂の採取のために、東京湾の海底から多量の土砂が採掘され、いまや海底部は不自然な穴場が多数存在する。ここは、海流の流れが悪く海水がよどみやすいため、青潮の発生源となりやすい。まずは、ここを埋め戻すことが急務である。
 また、青潮が三番瀬に迫ってきた際に、それを防止し、生物の死滅を防ぐために、青潮の誘導路となる航路と三番瀬の遮断のための施策が必要である。エアレーション施設の整備などが考えられる。

(4)後背湿地と三番瀬を結ぶ施策

 三番瀬周辺の湿地が、三番瀬に支えられていることを評価し、これら湿地の保全開発においては、三番瀬の保全開発と一体的に捉え検討する。
 とくに江戸川放水路については、その保全整備を緊急に行うべきであろう。三番瀬の間近にある江戸川放水路は、干出時間が短い潮干帯下部の干潟と浅瀬から成る砂質の三番瀬とは異なり、干潟が広がりやすく泥質で、アシ原もかなりの程度残っている。そのためか、三番瀬ではあまり見られない潮干帯上中部で生息する生物が数多く見られ、埋め立てにより潮干帯上中部を失った三番瀬の生態系を補完し、湾奥において複雑な生態系をつくることに寄与している。しかしながら、他の湿地と比べ保全への関心は薄く、住民のアクセスが容易であるために生態系が壊される危険性が常にあるからである。

(5)親水公園の整備等

 生態系保全の機能や、都市活動のマイナス面補完の機能を発展させる施策とともに、親水公園の整備等を積極的に行う。
 具体的には、住民が水と触れ合えるように現在の直立・階段護岸を極力再改修し、かつての自然に近い形状の海岸をつくる。周辺には、ビジターセンターや観察小屋等を設け、子どもや社会人のための環境教育が行える施設を整備する。また、アシ原の整備に併せて、その上に木道などを整備し、住民が気軽に散策し、生物を観察できる施設整備を行う。
 これらが本格的に整備されれば、住民の水面利用の機会は大幅に増加され、時として野鳥等の生息に影響が出ることが想定されるので、「漁業・野鳥保護区域」、「親水区域」等、事前にゾーニングを検討してもよい。ただし、そのゾーニングも絶対的なものと捉えず、かつての湾利用の方法・結果(人と他の生物の活動が融合されたことによる豊かな生態系の創造)に留意しつつ、複合利用の可能性がないか検討し、実施する。

2−5 地域経営の観点から保全開発をはかる

 上記の提言と重複するが、単なる「自然保護」の観点から、三番瀬開発の是非を論ずるのではなく、地域経営の観点からも三番瀬の保全開発をはかることを改めて強調したい。

(1)現在居住する住民が住み続けたいと思えるまち

 首都近郊に位置する三番瀬周辺の住民は「千葉都民」と言われ、都心に通勤する者とその家族が多く、ベッドタウンと化しており人口も多い。歴史文化的遺産(景観を含む)が次々と失われ、地域への愛着・関心も極端に低くなっている。また、急激な都市化のために、良好な自然環境が損なわれている。
 地域経営の観点から、今以上の人口流入となる開発ではなく、現在居住する住民が、これからも住み続けたいと思えるような開発をはかるべきである。

(2)自然とふれあえるまち

「自然とのふれあい」を求める気もちは、幼児をもつ家族ばかりでなく、また環境教育を行う教師ばかりでなく、だれもがもつ自然な欲求である。三番瀬は、数少ない「本物の自然」として、地域住民のこの欲求を充足する場とする。
 そのために、自然環境・景観に配慮しつつ、干潟域へのアクセスを容易なものとし、また釣り場を確保するなど様々な利用形態を想定した施設整備を行い、三番瀬沿岸の一定の区域を「親水公園」として整備する。この「親水公園」は、バブル時代に興隆した「ウォーターフロント」とは一線を画し、地域の自然と歴史文化に基づく施設を目指す。
 観察舎・博物館等の施設運営においては、単なる「見せ物」的な施設として位置づけず、地域の各種団体や小中高校、さらに大学等研究機関と協力し、地域づくりの一環として地域に根ざした持続的な運営システムを採用する。アシの刈り取りについても、住民参加で行い、アシによる特産品づくりなどを行うのも一方策と思われる。
 また、三番瀬で行われる環境教育のソフト面につき、ここが江戸前漁業の拠点であったこと、また、高度経済成長によって消えていった干潟浅海域の一部であることにかんがみ、とくに「人と自然のかかわり」の点に注目し、先人の知恵を学べられるメニュー構成となるよう希望する。

(3)自然のあるおかげで生活ができるまち

 地元産業である漁業を維持し、振興させるため、藻場等の造成を行い、生物の生息環境を改善し、漁業者の経済的な生活の場を確保する。

(4)国際交流のできるまち

 習志野市が行おうとしている渡り鳥を通した国際交流や、住民参加で行うアシ原復活活動等の地域からの地球温暖化対策を、三番瀬周辺の自治体等の地域団体も行えるような環境整備をする。眼前の自然環境を活かした国際交流をはかり、地域を改めて見つめ直せる機会をつくることは、現在では極めて薄い郷土への愛着が増すこととなる。


むすび

 本提言で抽出した三番瀬の価値は、本来はどれも対立する概念ではないが、場合によっては価値相互間の調整が必要になることも出てくるかもしれない。その場合は、具体的な検討を行う際に、これら価値の基底に「生態系の保全」があることを常に想起すべきである。踏み込んで言えば、「生態系の保全」こそが三番瀬周辺の地域振興にとって不可欠の要素であるとも言えよう。


参考文献
<はじめに>
・木村賢史「沿岸域の開発に想うこと」三番瀬研究所、1998年
<1−1>
・(財)日本自然保護協会三番瀬作業部会編集『東京湾・三番瀬埋め立て(市川二期、京葉港二期埋立計画)の問題点 資料集』(財)日本自然保護協会、1991年
・日本海洋学会海洋環境問題委員会「閉鎖性水域の環境影響アセスメントに関する見解 −東京湾三番瀬埋め立てを例として−」海の研究 Vol.2,pp.129-136,1993年
・沼田眞監修/沼田眞・風呂田利夫編『東京湾の生物誌(東京湾シリーズ)』築地書館、1997年
・福士融「三番瀬の自然」三番瀬研究所、1997年
・福士融「谷津干潟と三番瀬」三番瀬研究所、1997年
<1−2>
・環境庁企画調整局編『東京湾・その保全と創造に向けて−東京湾地域の開発と環境保全に関する基本的方策について(中間取りまとめ)−』大蔵省印刷局、1989年
・環境庁水質保全局編『かけがえのない東京湾を次世代に引き継ぐために−東京湾の望ましい水域環境を実現するための方策について−(東京湾水域環境懇談会中間報告)』大蔵省印刷局、1990年
・国土庁大都市圏整備局編『東京湾−人と水のふれあいをめざして 東京湾地域の総合的な利用と保全のあり方(東京湾地域の総合的な利用と保全のあり方に関する懇談会報告)』大蔵省印刷局、1993年
<2−1>
・中原裕幸「三番瀬と東京湾のWISE USEに向けて」三番瀬研究所、1998年
<2−2>
・環境庁企画調整局環境計画課地域環境政策研究会編集『地域環境計画実務必携(計画編)』ぎょうせい、1997年
<2−3>
・ 須藤隆一・環境庁水質保全局水質規制課監修「内湾・内海の水環境」ぎょうせい、1996年
<2−4>
・小埜尾精一+三番瀬フォーラム編『東京湾三番瀬 海を歩く』三一書房、1995年
<2−5>
・風呂田利夫編集責任『「都市と海」の思考 三番瀬埋立計画に関する10の視点(三番瀬ブックレット vol.01)』三番瀬を21世紀に残す会、1996年
・『三番瀬から、日本の海は変わる Neo Tokyo Bay Plan環境シンポジウム(三番瀬ブックレット vol.02)』三番瀬を21世紀に残す会、1996年
・陣内秀信「都市と水辺空間」三番瀬研究所、1998年

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