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堂本知事8年の失政 new!
 7年で121億円の税金等を費やす一方で、海の自然再生が全く進まず(2009年2月)
進展しない再生事業を自ら認めた千葉県の会議
 三番瀬再生会議による実施計画案への意見の問題点(2009年1月)
そして、死に絶えた生物たち
 青潮対策を全く講じなかった千葉県(2008年8月)
千葉県の無策を確認する
 8年間の無策隠しに躍起になる千葉県(2008年7月)
「偽装」の自然再生
 千葉県主催の「三番瀬国際フォーラム」などの問題点(2008年2月)
「三番瀬を弄ぶ人々」
 再生計画素案答申などの問題点(2006年11月)
現実の三番瀬から逃避する三番瀬再生会議
 基本計画答申などの問題点(2006年1月)
迷走する千葉県円卓会議と千葉県知事
 後継組織「三番瀬再生会議」の問題点(2005年1月)
青潮対策と政治ショー
 三番瀬再生会議準備会及び三番瀬シンポジウムの問題点(2004年8月)
千葉県三番瀬再生計画検討委員会の問題点
 円卓会議の「終焉」を迎えて(2004年1月)

[参考] 2003.1.22千葉県知事宛意見書(三番瀬研究会・日本野鳥の会千葉県支部・NPO法人三番瀬環境市民センター)



■堂本知事8年の失政
 7年で121億円の税金等を費やす一方で、海の自然再生が全く進まず
(2009年2月)

2月の定例県議会において、県議より、2期8年経っても三番瀬の再生が何も進んでいないことを指摘された堂本暁子知事は、「何もやっていないということはない」と反論したそうだ。各紙とも、この指摘に知事が「いら立ちをみせた」(朝日新聞)、「気色ばむ」(東京新聞)などと表現しており、かなりカチンときたようだ。

知事は、その反論の根拠として、漁業補償や護岸改修などの事業を実施していることを挙げた。しかし、本欄で繰り返し述べているように、これらの「事業」は三番瀬の自然再生とは関係がない。

この県議によれば、知事が就任した2001年度から2007年度までに三番瀬再生の会議や調査などに14億円費やされている。漁業補償を含めれば実に121億円に上る。今年度の予算を加えれば、さらに金額は増えることになる。
これだけの税金をつぎ込んでおきながら、現場の海で、自然の再生につながる事業は、結局何一つ行われなかったわけであり、知事の反論は著しく説得力に欠ける。

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■進展しない再生事業を自ら認めた千葉県の会議
 三番瀬再生会議による実施計画案への意見の問題点
(2009年1月)

2008年12月26日、千葉県の三番瀬再生会議は知事に対して、「平成21年度千葉県三番瀬再生実施計画(案)」について意見を述べているが、次の記述がある。

三番瀬再生のグランドデザインの検討
三番瀬の長期的再生の実現のためには、護岸改修等の当面の事業の執行と同時に、目標生物の設定、生態系ユニットの再生など、中期的な再生ビジョンを検討することが必要不可欠です。次期再生会議では、このような自然再生のグランドデザインを検討し、実現可能なものから実行に移すことが望まれます。各年度の実施計画案等に関する議論に加え、上記の課題について議論する十分な時間を確保されることを要望します。

すでに8年間、現知事の下で会議を続けているにもかかわらず、いまだにこのようなことを堂々と提言する再生会議の知性と感性には、怒りを通り越して失笑せざるをえない。
数億円の費用をかけて机上の会議などを延々を繰り広げているものの、いまだに目標生物の設定などができず、自然再生のグランドデザインが何もできていないことを自ら告白した格好だ。

昨年末に発行した三番瀬フォーラムの会報に書いた通り、青潮対策など緊急に講ずべき事業を何一つできなかった県の失政によって海環境の状況は悪化の一途を辿っている。密漁もすでに“半商業化”している。

「エコポイント制度」やら、「環境学習活動」やら、能天気な提言が続く意見書。
一方で意見書では、こうした海の現況には一切触れていない。
県の会議には、状況を見据える能力も気概も無いと言うべきなのだろう。
これは、言うまでも無く、堂本暁子氏の能力と気概についても同じことが言えるのだが。

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■そして、死に絶えた生物たち
 青潮対策を全く講じなかった千葉県
(2008年8月)

8月下旬に発生した青潮の被害の爪あとが、まだ三番瀬には生々しく残っている。
干潟の表面には、青潮で死に絶えたアサリやシオフキの貝殻がいまだ散乱している。
マテガイに至っては、あたかも墓標のごとく、干潟に突き刺さっている。実際は、青潮のかぶった砂の中で息ができず、やむをえず表面に這い上がり、そして息絶えた姿だ。
沖合いに出れば出るほど、生物の姿が見えなくなる。エサとなる生物が少ないから野鳥も少ない。

かつての三番瀬であれば、青潮が来襲し、生物が激減しても、そのすき間をチャンスとばかりに、翌月には稚貝などがわっと涌いたものだった。
しかし、最近ではそうした姿も見れなくなってしまった。明らかに三番瀬の自然がもつ治癒力が衰えているのだ。

堂本暁子千葉県知事がこの8年間、数億円が「三番瀬の再生」として会議などに延々とつぎ込まれてきたが、青潮対策にはついに使われることはなかった。

この方さえいなければ、「東京湾再生」を政府方針と位置付けて三番瀬再生策を主なターゲットで考えていた国が、とっくの昔に青潮対策を実施していたことだろう。
なぜなら、詳細はいつか書くつもりだが、知事がやる気もないにもかかわらず、表向きは三番瀬再生を県主導で行うことを宣言してしまったがために、具体的な三番瀬再生策が国にあったにもかかわらず、すべて頓挫してしまったのである。

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■千葉県の無策を確認する
 8年間の無策隠しに躍起になる千葉県
(2008年7月)

◇アナジャコとカキの増加は、本来の自然を傷つけている

 今年も三番瀬フォーラムのグループでは、船で沖合いに広がる干潟を歩く他に、各地の学校が主催する三番瀬観察会などで、ふなばし三番瀬海浜公園やその西隣となる東浜でガイドや調査をしている。
 これら人工海浜から干潟へアクセスすると、アナジャコが確実に増加していることがよくわかる。当初は、東浜沖合いに広がってしまったカキの群落が成長するとともに、東浜でアナジャコが増えていたように思うが、今年は、海浜公園側の干潟にもアナジャコが多数見られるのだ。
 本来、主に砂からなる三番瀬では、砂干潟を覆うカキの群落の増加は砂干潟の生物の生息を妨げている。私たちの他にも、研究者や漁業者の大半はその増加を憂慮している。カキとともに、アナジャコの増加も大きな問題だ。なぜなら、アナジャコが多数つくる巣穴があると、アサリなどの干潟生物が生息できなくなるからだ。

◇異質な生物の増加で「豊かな自然」と評価するのは誤り

 ここで一つ指摘しておきたいのは、こうしたアナジャコやカキの増加をもって、「三番瀬にはたくさんの生物がいて、豊かな自然だ」という意見がいまだにあることだ。特にこれら生物が多数生息する市川塩浜地先(いわゆる「猫実川河口域」)を肯定する方々はこの論法を好むようだ。
 しかし、その自然が「豊か」かどうかを、本来“主役”でなかった生物が増えることを基準にするのは明らかに誤りだ。代表的な干潟生物であり、漁業資源でもあるアサリが減少していること、あるいは、頻発する青潮によって多くの生物が死滅していること――こうした本来の自然環境が確実に悪化の一途を辿っている中で、この自然を「豊か」だと言いきることに、私はやはり強く異を唱えたい。

◇「8年間の無策」隠しに躍起になる千葉県

 一方、千葉県は、相変わらずこうした危機的な三番瀬の自然を意識することもなく、ダラダラと会議ばかりを続けている。この8年間で現実の三番瀬で行われたことは、一部の暫定護岸の補修だけだ。いや、この工事は安全確保が目的の石積み護岸の整備にすぎず、三番瀬の再生にはまったく関係ないから、三番瀬の再生策は何も講じられていないと言うのが正しい。
 政治責任・行政責任を深く認識して、リーダーシップを発揮しなければ、社会の問題の解決はできない。市民参加の会議にすべて丸投げするだけで政治も行政も済むならば、政治家も役所もいらない。何度も書いている通り、知事は、合意形成を隠れ蓑に、政策の決定・実行をするという政治責任から逃げている。
 最近、知事の任期切れが迫る中で、何とか実績をつくりたいと、船橋側だけのラムサール条約への登録など、これまた三番瀬の自然再生に何の関係ない動きを水面下でもしている。これに対して、地元の市川市も船橋市もどちらも冷淡な反応をなぜしているのかを考えてほしい。現実の危機的な環境を無視して「自然の豊かさ」をアピールする条約登録は、勘違いも甚だしいのだ。話の順番がすべて逆なのである。
 三番瀬のマスコットキャラクターを募集する時間と予算があるのなら、8年間の無策を謝罪する特集を県の広報誌で組んでみたらどうだろうか。

◇逃げた環境省へ一言

 ところで、ここに来て、環境省が千葉県へ今年度から補助金を出さないことになった。環境省は、堂本県政になってから、千葉県の三番瀬関連の会議の運営費などを補助してきた。
 泥船に乗って一緒に沈みたくないというのが環境省の本音だろう。しかし、泥船を8年間沈まないように支え、自然再生事業の実現に向けた数々のチャンスをつぶすことに結果として加担した環境省の罪は決して小さくないと私は思う。

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■「偽装」の自然再生
 千葉県主催の「三番瀬国際フォーラム」などの問題点
(2008年2月)

 直立護岸の補強工事現場を視察した際に、県の担当者の方が「石積み護岸に改修したことで、ケフサイソガニなどの生物種が確認されました」と述べていた。ケフサイソガニは元々その場所にいたし、このカニをあたかも再生の指標生物かのように話すその姿は、ほとんど悪い冗談だ。ほんの少しでも、三番瀬あるいは干潟の自然環境を知っていれば、とてもそんなセリフは言えないだろう。
 自然再生を「偽装」していると言わざるをえない。

 先日開催された千葉県による「三番瀬再生国際フォーラム」も、同じだ。
 何一つ成果が出ていないにもかかわらず、あたかも自然再生が進んでいるかのような舞台設定。「国際」と銘打っておきながら、13名の講演者のうち外国人はわずか2名。他は、まぁ、いつもの知事シンパの方々がほとんどだ。
 また、「400名が来場」と、盛り上がりを演出してみせた。しかし、平日の10時から17時のイベントにどれだけの一般の市民が参加できると言うのだろうか。
 すでに6年間も会議を主催している知事の音頭で行われたイベントだ。「自然再生のつもりだった」とは言わせない。
 このイベントも、「偽装」である。

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■「三番瀬を弄ぶ人々」
 再生計画素案答申などの問題点
(2006年11月)

◇あまりに醜い、県の円卓会議答申

 11月7日、千葉県の三番瀬再生会議・大西隆会長から堂本暁子知事に対して三番瀬再生計画(事業計画)(素案)についての答申が提出された。その、あまりにも醜い答申内容に私は怒りを禁じえない。
 県が策定した素案に対して細かな字句を修正するのみで、三番瀬の海域環境の厳しい現状に対する認識をもった根本的な指摘が何もできていない。5年間にわたり目的である施策(再生策)が何一つ講じられていなければ、普通の行政であれば重大な行政責任が生じるはずであるが、それに加担した反省の姿勢もまったく見られない。

◇現場を知らなすぎる委員たちと、現場からの怒りの声

 それにしても、現実の海域環境への危機感がまったくなく、現場を知らなすぎる姿勢には改めてあきれるばかりだ。
 常に青潮による生物被害の脅威に直面していること、昨年のように腐敗したアオサが海岸に打ち寄せて生物に大きなダメージを与えていることについて、まったく触れていない。
 いわゆるカキ礁が海域環境へ与えるダメージは、漁業者をはじめ現場では常識であるのに、どこにも触れていない。本来は砂質であったところが環境悪化により泥質化し、沈船などに付着したカキが増殖、砂の干潟にもカキ礁が侵食しつつあるのだ。青潮によるカキ死滅による大きな二次被害の危険性はもちろん、カキ礁の基本的な問題点にすら触れていない(わからないから触れられない)。
 具体的な再生事業を行うことなく、広報や会議ばかりに県が予算を費やしたことで名前だけはすっかり有名になってしまった三番瀬。そのために、大潮のたびに密漁者たちが違法に魚介類を採取する光景が見られるようになってしまったが、このことに対する指摘もない。
 三番瀬の現場ではこの答申に日々怒りが高まっている。
 「答申で書かれてあるような、行徳湿地の整備も、海老川水系の保全も、学校ビオトープも、ノリの品種改良もエコマークも三番瀬の再生には関係ない。県民基金ですか? 金がないならやめちまえ!」

◇行政とNGO、研究者の馴れ合いの果てに

 今回、人材バンク、パスポート、維持・管理活動(クリーンアップなど)の支援の事業メニューが追加提案されているが、こんなレベルなことを県の事業として行わなければならないのか?
 本来、県が事業としてすべきことは、NGOや漁業者がそれぞれ単独で行うことが難しく、地元市が行う事業規模では足りないような事業であるはず。
 そうした三番瀬の自然環境の再生に直結する事業について何ら提案することなく、NGOが自主的に行うことができるようなものを求めるとは、一部のNGOや住民、研究者が県の予算を欲しがっているとしか思えない。行政とNGO、研究者の馴れ合いである。
 「三番瀬の再生に直接つながらないことに予算をかければ、これまで通りお金の大好きな人たちが集まるだけ」。関係者の一人は怒りを込めてはき捨てている。

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■現実の三番瀬から逃避する三番瀬再生会議
 基本計画答申などの問題点
(2006年1月)

 千葉県の三番瀬再生会議は、千葉県から出された三番瀬再生の基本計画について昨年2005年6月30日に答申を出し、同年12月28日には、護岸改修の事業計画・実施計画について答申を出した。
 基本計画は、再生会議の前身ともいえる三番瀬再生計画検討会議の2004年1月の答申をベースにしているものの、さすがに、円卓会議の答申にあったような、自然再生についての後ろ向きな記述や、関係者がまったく納得していない海岸構造の図などは取り払われた。とはいえ、「基本計画」という体裁を利用して批判が出にくいような薄っぺらい構成となっており、コメントするほどのものでもない。
 そして、再生会議は12月28日に塩浜地区の護岸改修についての答申を出し、2006年1月、事業計画が確定した。この小さな具体策が出てくるまでに結局5年間の歳月が流れてしまったわけだ。

 2004年1月まで続いた再生計画検討会議を忠実に引き継ぐかのように、再生会議の手法は相変わらず「結論」を詰めようとしない姿勢に終始している。
 県知事は県議会などさまざまな場で「時間をかけた議論が必要」と述べているが、一定の時間の中で「結論」を出すために議論するのであればよい。しかし、5年間でまだ会議は終わろうともしない。しかも、再生会議の中で委員の間で意見が割れると、結論を先延ばしにする手法が見てとれる。すなわち、誰かが声高に反対すれば、その項目はあいまいなものとなるようになっている。

 昨年、メディアの一部では、ラムサール条約登録湿地への三番瀬の登録が見送られたことに残念がる論調があった。そもそも、三番瀬の自然環境を保全し、再生することが目的であれば、ラムサール条約登録湿地への登録を急ぐ理由はどこにもないのであるが、それはひとまず置いておくとしても、なぜ地元で慎重な意見が強いかということを考えていただきたいと思う。それは、曖昧なまま議論だけが続き、三番瀬の実際の自然がどのような悪い状況であるのか省みられない現在の状況を、ラムサール条約への登録で肯定されてしまいかねないことを地元では憂いでいるのだ。

 何度も強調していることであるが、現実の三番瀬は決して楽観できるような状況ではない。時間が経てば経つほど自然環境の悪化は進むであろうし(好転する材料がない)、早急な保全と再生に向けた対策が不可欠なのである。
 昨年、アオサが広い範囲で干潟・浅瀬に堆積した状況もそうした現実の一つである。水深10センチ程度はあるはずの場所が広大な陸地のように見えたが、歩いて見るとそれは腐ったアオサが堆積しているものであった。もちろん、その下の砂は腐り、生物を見ることはできない。こうした三番瀬の現実すらも、再生会議という装置はあいまいなものとしている。

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■迷走する千葉県円卓会議と千葉県知事
 後継組織「三番瀬再生会議」の問題点
(2005年1月)

 昨年末、千葉県では三番瀬円卓会議の後継組織が発足した。円卓会議が再生計画案を提出してから1年近くがすぎての発足。県知事が「三番瀬の再生」を表明してから4年近く経っての発足だ。

 結局、この4年間、県の再生事業は何一つ実施されていない。「市民参加と合意形成」を口実に責任逃れに終始し、議論をこじらせ、当事者として問題の解決に何一つ動こうとしなかった県知事が県庁の椅子に座っていただけだ。
 後継組織には漁業者が参加していない。地元市も委員としての参加ではなく「オブザーバー」としての参加にとどめている。4年間も問題が放置されてきたのだ。県知事を信用できず、参加しないのも当然であろう。今年3月の知事選を見据えてのパフォーマンスにすぎないことを見抜いているのかもしれない。

 当事者がいない会議の実効性は期待できないし、その会議の結果を「県民合意」とするのであれば知事の政治責任は免れない。荷が重くなってきたのであろう。ここにきて知事は「事業の実施は地元市で」との趣旨の発言をした。地元市が再生の方向性をすでに明確にしている中で、県の事業を実施するというタテマエのもと、知事は円卓会議を主宰してきたはずだ。かりに円卓会議の計画案が県の公式な計画となったとしても(現状ではいまだ円卓会議の計画案は単なる民間案にすぎない)、地元市が作成にタッチしていない「県の計画」を地元市に押し付け、実施しろというのだろうか。
 地方分権の時代に、なかなか「中央集権」的な発想である。

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■青潮対策と政治ショー
 三番瀬再生会議準備会及び三番瀬シンポジウムの問題点
(2004年8月)

 8月31日、青潮が発生している東京湾の危機的な状況などまるで他人事かのように、千葉県による「(仮称)三番瀬再生会議」準備会が開催されている。本年1月に「三番瀬再生計画案」が提出されてから実に8か月近く過ぎての開催だ。
 26日になって本準備会について県はホームページで公表したが、その内容に関わる記述は次の通りだ。
「三番瀬再生計画検討会議(円卓会議)から提出されました三番瀬再生計画案を受け、県の三番瀬再生計画の策定に向けて、『(仮称)三番瀬再生会議』準備会を公開で開催します。」
 わずか80字の案内。再生計画案の分厚さに比べたら、そのあまりの意気込みの無さに唖然とせざるをえない。

 私は、任期延長を固辞して、県円卓会議を離れたが、それは次の理由による。
(1)何度となく求めたにもかかわらず「合意形成」の基本ルールすらつくろうとしなかった
(2)三番瀬の現況−海の危機的状況、過去の埋立問題により入り組んだ政治・社会状況等−を無視して議論が進められてきた
(3)以上のことによって計画案ができたとしても、その実効性はきわめて乏しいと予測した

 今回の準備会開催の顛末は、まさに上記のことを証明しているように私には思えてならない。80字の案内は、再生計画案の具現化がきわめて困難であることを露呈させているようなものではないだろうか。庁内の調整も、関係者との調整もうまくいかない中で、単に目前に控えている9月議会で知事が次のような発言をするために開催されたのだろう。−「先日も準備会が開催されておりまして、着々と三番瀬の再生計画は進んでおります。」

 3年前を覚えているだろうか。
 泥縄式に開催された「第1回三番瀬シンポジウム」。これも開催日は8月23日であり、9月議会対策。3年が経とうとしているのにもかかわらず、相変わらず同じような政治ショーをしている。
 「再生」を標榜する知事の任期は残りわずかであるにもかかわらず、この3年以上の間、青潮対策をはじめ、三番瀬を再生させるための県の施策は何も実施されなかった。そればかりか、「合意形成」を錦の御旗に、そうした動きが封じ込められてきてしまった。青潮対策と政治ショー、知事にはどちらが大事なのだろうか。

 最近、あるきっかけで「合意形成」の動きについて学ぶ機会があった。欧米を中心としたその動きを見るにつれて、県知事の進める「合意形成」とは一体何なのかと根本的に疑問に思う。ルールも何もなく、県は後ろに隠れ、ただ「参加」を口にしながら延々と議論をさせるやり方。けれども、政策を決定するのは、最終的には知事であり、だからこそ「政治責任」という言葉がある。
 「政治責任」から逃避するための手段としては、なるほど、「合意形成」とは都合のいい言葉なのだろう。

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■千葉県三番瀬再生計画検討委員会の問題点
 円卓会議の「終焉」を迎えて
(2004年1月)

 千葉県による円卓会議が終わった。
 2年の歳月と3億円の予算を費やし、いま、ようやく三番瀬再生計画検討委員会が終焉を迎えた。

 結局、「なにをもって合意形成とするか」という基本ルールをつくることなく、会議を主宰する側のビジョンもないまま最後まで走り続けることとなり、意見の寄せ集めと言わざるをえない報告が出されたにすぎないと私は思う。委員の中には知人も多いし、海と街の再生のために懸命に取り組んだ方々もいるのは知っている。にもかかわらず、このような報告となったことは、会議のトップとそのトップの任命権者に大きな問題があったということだろう。
 この「再生計画」では、三番瀬の具体的な保全・再生事業をどのように進めるのか見えてこないので、事業の基本に位置づけられることは実質的にはないであろう。予想していたことであるが、私たちは今までと変わることなく、独自の事業を展開し、少しでも早く保全・再生が進むように活動していくことにしよう。

 この会議の問題点は、昨年1月、円卓会議小委員会委員の任期延長を拒否し、委員を退いた際に提出した意見書に書いたから(文末にリンクあり)、今さら長々と繰り返すまい。ただ、ひとつだけ記しておきたいのは、三番瀬という討議すべき場は「海」であるにもかかわらず、それが、あたかも近所の公園づくりのためのワークショップのようなことを主宰者が行ってきたことが根本的な問題点だということだ。

 冬の時化の三番瀬をべか船で航行せざるをえなかったとき、荒波の中で前に進もうとしても進めない。近くにはコンクリートの柵や棒杭が右にも左にもある。たかが水深1メートルの海とはいえ、冬の海のこんな沖で投げ出されたら最悪の結果を招くかもしれない。人の力をはるかにしのぐ海の破壊的なエネルギーの前に、私は、この三番瀬という「場」を何よりも恐ろしく感じた。漁師が言う「板一枚、下は地獄」とはこういうものなのかと心底思った。
 それでも、風が収まり、日が差し、潮の引いた海は、他のなによりも暖かいものを感じる。水ぬるむ春、生命が躍動する干潟と浅場は、私がもっとも好きな場だ。けれども、直立護岸と幹線道路と工場群に囲まれた三番瀬は、在りし日のように子どもたちが気軽に行ける海ではない。
 夏や秋はどうだろう。本来であれば、体を冷やせる心地よい場なのかもしれない。けれども、この海には毎年のように青潮が襲い、そこに住む生物を死滅させる。今は、人が海を痛めつけている現実をまざまざと見せつける季節となってしまった。

 海は、近所の公園のように決して静態的な環境ではない。常に動態的な環境だ。しかも環境負荷が著しく高い三番瀬は、とくにそれが言えると思う。そのようなダイナミックに変動する環境の再生を考えるのであれば、やはりその現場から議論を組み立てる仕組みがほしかったし、かつての埋立計画が招いた深刻な利害関係をきちんと踏まえながら討議する枠組みが必要だったのだ。それらを一つも実現しようとしないまま、県のトップが能天気に会議を動かした責任はきわめて重い(何度も彼らにそれを伝え、それを拒否され、そして私たちは離れた)。

 それでも、あの会議は終わった。
 これまで2年もの間塩漬けにされてきた再生に向けた動きを本格化させるために、今週も海へ出よう。あの会議と距離を置いたおかげで、この1年間にアマモ再生をはじめとして現場で多くの知見を得ることができた。私たちのスタンス、フィールド主義で週末も海へ行こう。

[参照]2003.1.22千葉県知事宛意見書
 (三番瀬研究会・日本野鳥の会千葉県支部・NPO法人三番瀬環境市民センター)

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