知ったかぶりのジャズ理論

 私が今まで学んできたアドリブに必要な基本的音楽理論をまとめてみようと思う。

 日本で出回っているジャズ理論の本はほとんどは、昔バークリー音楽大学で教えられていた、バークリーメソッドと呼ばれるものだと思います。日本に紹介されたのは渡辺貞夫さんの「ジャズスタティ」が初めてではないでしょうか?「ジャズスタディ」の中でアドリブに必要な知識はほんの一部です。管のソリやボイシング等の解説が大部分を占めています。「ジャズスタディ」はアレンジに関する本だと思ったほうがいいでしょう。アレンジに興味ある方は是非買って読んでください。

 一般的なジャズ理論を誰が体系立てたのかは知りませんが、アドリブに必要な理論はチャーリーパーカーの時代に既に作られていたと思います。ということはアドリブに関するバークリーメソッドは今から50年も前に生まれた理論だということになります。理論というより方法論と言ったほうがいいかもしれません。

 僕の解説では楽譜を使用していません。現在僕はうつ病でやる気がないからです(^_^;)。

 文だけだと非常に理解することは難しいと思います。以降の解説は一般的なアドリブに関するバークリーメソッドの他に、スケールが派生した根拠や、アベイラブルノートスケールの誤解、等、アドリブをするために必要だと思われることも書きました。僕の解説で理解できない方は、本を買ったりして勉強することをお勧めします。

 僕は15歳の時からジャズ理論の勉強を始め、様々な理論書を読み、気に入った音楽をコピーしたり、自分のライブ等の演奏中に様々なこと学んできました。ずいぶんと遠回りしてきたように思います。頭で理解できることは最短時間で理解してしまったほうがいいと思います。

 黒文字は2000年11月に書いたもので、この色は2003年3月に、これも知っていて頂きたいと思う内容を加筆したものです。現在のコンテンポラリーなジャズのアドリブは(昔の)バークリーメソッドだけでは理解できないものになっています。以降の内容は僕なりに体系化したアドリブの方法論です。

1.トニック、ドミナント、サブドミナント
2.コードの構成音
3.スケールの派生
4.その他のスケール
5.ダイアトニックコード
6.テンション
7.代理コード
8.セカンダリードミナント
9.K−N
10.分数コード
11.アベイラブルノートスケール


1.トニック、ドミナント、サブドミナント

トニック:どこへでも行ける。
ドミナント:トニックへ行ける。
サブドミナント:トニック及びドミナントに行ける。

 上記理由は自然倍音列に由来する。自然倍音列は、440Hz,880Hz,1320Hz,・・・と周波数が倍々に 増加していくものである。基音から初めにでてくる上方向倍音は5度上の音となる。この5度上の音は基音に一番近い倍音であるため、5度上の音は基音へ強く帰着する性質をもつ。つまり、5度 上の音→基音が、ドミナント→トニックにあたる。基音(トニック)がCであれば5度上の音(ドミナント)はGになる。
 今度は下方向倍音列を考えると、基音から初めにでてくる下方向倍音は5度下の音となる。基音がCならFの音である。この音も基音に近い音であるため、基音に帰着する性質を持つ。5度上の音より帰着する力は弱い。この5度下の音がサブドミナントになり、サブ ドミナント→トニックと帰着できることになる。
 サブドミナントからドミナントに行ける根拠については知らない。

 トニック、ドミナント、サブドミナントで動けるのは1つの調性の範囲内だけです。トニックはどこにでもいけます。トニックからその調とは全く関係のない音へも行けるということです。行った先を新たなトニックとすると、どこへでも行ける事になります。自分がいいと思った動きなら「何でもあり」なのです!

あと、ロックンロール系のブルースの最後の4小節はドミナント→サブドミナント→トニックになっていますね。ドミナント→サブドミナントの動きは説明できませんね。聴いてよかったら理論なんか関係ないということでしょうか?

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2.コードの構成音

 まず、ルート音がある。5度上の音はルートに一番近い倍音である。3度上の音は5度の次にルートに近い倍音である。この3つを合わせると3和音になる。ルートがCであれば、3度上の音E、5度 上の音Gになり、このコードをC△(△はメジャー)と呼ぶ。
 短3度上の音もルートに近い倍音である。ルート、短3度上、5度上を合わせると、ルートがCであ れば、コードはCmとなる。

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3.スケールの派生

3.1 メジャースケール

 トニックのコードC△と、ドミナントのコードG△と、サブドミナントのコードF△の全て構成音 をまとめてみる。
 C△の構成音はC,E,G。
 G△の構成音はG,B,D。
 F△の構成音はF,A,C。
 これを順番に並べると、C,D,E,F,G,A,Bになる。これはドレミファソラシドである。これをCメジャースケールと呼ぶ。

 Cメジャースケールは、CとDの間が全音、DとEの間が全音、EとFの間が半音、FとGの間が全音、GとAの間が全音、AとBの間が全音、BとCの間が半音になっています。ピアノの鍵盤を思い浮かべればすぐに覚えられます。間に黒鍵があるところが全音、間に黒鍵がなく白鍵が続いているところが半音です。

 ちなみに黒鍵だけを弾くとF#のペンタトニックになります。

 スケールの各音間のインターバルがわかれば別のキーに移調することは簡単ですよね?

 タブ譜しか見たことないギター少年は指版全域を使って12のキーでスケール練習をしてください。コピーで満足しているギター少年は練習しなくていいです。君達が憧れているロックのギタリストもそれなりに理論を勉強しているはずです。向上心がある人は地道に練習と勉強を続けてください。

 タブ譜しか見たことのないギター少年のためにオマケを書いておきます。

 #や♭の数を見てその曲のキーがわかりますか?わからない人には「小学校からやり直せ!」と言いたいのですが、僕は中学まで授業を聞いた記憶がないアホな人なのでアホの気持ちはわかります。ですから特別に教えてあげます。

記号なし:C,#1個:G,#2個:D,#3個:A,#4個:E,#5個:B
記号なし:C,♭1個:F,♭2個:B♭,♭3個:E♭,♭4個:A♭,♭5個:D♭,♭6個:G♭

 通常使われるキーは上記ぐらいだと思います

 ギターの指版を思い浮かべるとすぐに理解できると思います。分母が弦、分子がフレットを示します。

 #が0:C(3/5)→#が1:C(3/6)→#が2:D(5/5)→#が3:A(5/6)→
#が4:E(7/5)→以降#が増える毎に同様な動きになり押さえたフレットが♭の個数に対応するキーの音名になります。

♭が0:C(8/6)→♭が1:F(8/5)→♭が2:B♭(6/6)→♭が3:E♭(6/5)→
♭が4:A♭(4/6)→♭が5:D♭(4/5)→以降♭が増える毎に同様な動きになり押さえたフレットが♭の個数に対応するキーの音名になります。

 ここでメジャースケールを度数表示のローマ字で示すと、
 J,K,L,M,N,O,P となる。
 ・第1音から始めたスケールをイオニアン(イオニアンスケールの第4音はavoid)
 ・第2音から始めたスケールをドリアン
 ・第3音から始めたスケールをフリジアン(フリジアンスケールの第2音はavoid)
 ・第4音から始めたスケールをリディアン
 ・第5音から始めたスケールをミクソリディアン(ミクソリディアンスケールの第4音はavoid)
 ・第6音から始めたスケー ルをエオリアン
 ・第7音から始めたスケールをロクリアン(ロクリアンスケールの第2音はavoid)
と呼ぶ。

 ミュージシャンとかの業界の人は、居酒屋の会計の時「今日はデーセンゲーヒャクとおしね!」とか「チェーマン円だけどくずれる?」とか喋ったりします。Cメジャースケールをドイツ語で読むと、チェー、デー、イー、エフ、ゲー、アー、ベー、になります。ローマ数字を当てはめると、
J,K,L,M,N,O,Pになりますね。なので「今日は2千5百とおしね!」とか「1万円だけどくずれる?」とか喋っていることになります。


3.2 ナチュラルマイナースケール

 CメジャースケールのA音からはじめたスケールをAナチュラルマイナースケールと呼ぶ。
トニックはAm,ドミナントはEm,サブドミナントはDmとなる。
このスケールは導音を持たない。導音とはルート音の半音下の音である。


3.3 ハーモニックマイナースケール

 トニックのコードCmと、ドミナントのコードG△と、サブドミナントのコードFmの全て構成音 をまとめてみる。
 Cmの構成音はC,E♭,G。
 G△の構成音はG,B,D。
 Fmの構成音はF,A♭,C。
 これを順番に並べると、C,D,E♭,F,G,A♭,Bになる。
度数表示のローマ字で示すと、 J,K,L♭,M,N,O♭,Pとなる。これを、ハーモニックマイナースケールと呼ぶ。
第5音から始めたスケールをハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウと呼ぶ。

 ハーモニックマイナースケールはヘビメタのクラシカル速弾きギタリストがよく弾きますね。


3.4 メロディックマイナースケール

 トニックのコードCmと、ドミナントのコードG△と、サブドミナントのコードF△の全て構成音 をまとめてみる。
 Cmの構成音はC,E♭,G。
 G△の構成音はG,B,D。
 F△の構成音はF,A,C。
 これを順番に並べると、C,D,E♭,F,G,A,Bになる。
度数表示のローマ字で示すと、 J,K,L♭,M,N,O,Pとなる。これを、メロディックマイナースケールと呼ぶ。
 第7音から始めたスケールをオルタードドミナント7thスケールと呼ぶ。
 第4音から始めたスケールをリディアンドミナント7thスケールと呼ぶ。
 第6音から始めたスケールをスーパーロクリアンスケールと呼ぶ。

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4.その他のスケール

 3章ではトニック、ドミナント、サブドミナントのトライアド(3音のコード)を組み合わせてスケールを派生させた。以降には3章のように派生させることができない人工的に作られたスケール を示す。

4.1 ディミニッシュスケール
 全音、半音、半音、を連続させたスケールであり8音となる。
J,K,L♭,M,N♭,O♭,O,P

4.2 コンビネーションディミニッシュスケール
 半音、全音、半音を連続させたスケールであり8音となる。
ディミニッシュスケールの第2音からはじめたスケールと同じである。
J,J♯,K♯,L,M♯,N,O,P♭

4.3 ホールトーンスケール
 全音を連続させたスケールであり5音となる。
J,K,L,M♯,N♯,O♯

 世の中には、2オクターブをn分割するスケールとか、2オクターブで1度も同じ音が重複しないスケールとかを考え出す人がいます。しかし、これらのスケールは和声的な構造になっていません。下から上に上がったり、上から下に下がったりして、エリックドルフィーみたいなアウト感は出せるのですが。。。
エリックドルフィーみたいな演奏をしたい人は研究してみるといいと思います。

<補足1>ペンタトニックスケール
 これは有名ですね。ロックギターの初心者でも知ってます。日本でも四七抜きと呼ばれて昔からありました。世界各地にも大昔からあったようです。Cメジャースケールの4番目と7番目を抜くと
C,D,E,G,A
になります。この音列はCメジャーペンタトニックまたはAマイナーペンタトニックと呼びます。

 ペンタトニックの構成音はメジャースケールに含まれるので、メジャースケールが使えるところではペンタトニックも使うことができます。また、メジャースケールには他に2つのペンタトニックが含まれています。CメジャースケールにはAマイナーペンタトニックの他にDマイナーペンタトニック、Eマイナーペンタトニックが含まれます。

 ペンタトニックには和声の機能はありません。なんでこのようなスケールが昔からあったのでしょうか?こんな話を聞いたことがあります

 自然倍音列で1番初めに出現するルート以外の音は5度の音です。ルートと5度は最も単純なハモリになります。

 昔々、弦をはじくとCの音がでる弓を持っている人がいました。ある時、はじくとGの音がでる弓を持つ人に会い、一緒に弦を弾くと気持ちがいい音が響き渡りました。気持ちのいい音を聞きつけて色んな音がする弓を持っている人たちが集まってきました。色々ためすと一番気持ちいい音の組み合わせがわかりました。それはこういう組み合わせでした。
C1−G1−D2−A2−E3
 各音のインターバルが5度になっています。順番に並べると、C,D,E,G,Aとなり、Cメジャーペンタトニックとなります。


<補足2>ペンタトニックの発展型?
 ペンタトニックの、C1−G1−D2−A2−E3を、さらに5度インターバルで積み重ねるとB,F#が出てきます。これを並べると、

C,D,E,F#,G,A,Bとなり、Cリディアンスケールになります。

 「リディアンクロマチックコンセプト」という本の前半では、リディアンスケールを基本としたコードに対するスケールのアプローチが書かれています。日本語訳の本も出ていますが、後半はあるコードをとんでもないコードで代理する方法が書かれていて何だか理解できませんでした。リディアンクロマチックコンセプトは究極的には12音全てを使ってよい、という極致に達します。バークリーメソッドや和声学とは対極に位置する考え方です。リディアンクロマチックコンセプトを読んだときにはカルチャーショックを受けました。しかし、大変困惑しました。リディアンクロマチックコンセプトは実践的ではないように感じます。リディアンクロマチックコンセプトはバークリーメソッドを完全に理解してから読んだほうがよいと思います。


<補足2>ブルーノートスケール
 ブルーノートとはメジャースケールの第3音、第5音、第7音を半音さげた音を指します。メジャースケールにブルーノートを加えたものをブルースメジャースケールと呼びます。
J,K,L♭,L,M,N♭,N,O,P♭,P

 本当のブルーノートは、上記スケールの短三度(L♭)の音より若干ピッチが低いです。クウォーター(半音の半分)と短三度の間ぐらいの音です。ギタリストはチョーキングしましょう。

 上記のブルースメジャースケールは音が多すぎて使い難いです。ランダムに並べるとブルースとはかけ離れたものになってしまいます。僕はブルースメジャースケールに含まれる2つのペンタトニックスケールに分解すると、使いやすいと思います。

(1)Tをルートとするマイナーペンタトニックスケール
 J,L♭,M,N,P♭

(2)Yをルートとするマイナーペンタトニックスケール
 O,J,K,L,N
 Oをルートとして並べ替えると(1)と同じJ,L♭,M,N,P♭になります。ブルースメジャースケールのTから短三度低いマイナーペンタトニックと理解すればよいと思います。

 ギターでCのブルースを弾く場合、6弦8フレットのCをルートとするCマイナーペンタトニック(1)と、短三度低い6弦5フレットのAをルートとするAマイナーペンタトニック(2)が使えるということです。
 C7のコードを録音して(2)のスケールを弾いてみてください。すごく明るいサウンドになるので笑っちゃいます。

 実践的には、(1)または(2)のマイナーペンタトニックに、含まれていないブルースメジャースケールの音を入れて使うといいです。例えば、
 J,L♭,M,N♭,N,P♭
とかですね。

 そういえば、エリッククラプトンは「クロスロード」で(1)と(2)のスケールを行ったり来たりしてアドリブしていましたね。キーはAですね。ブルースはセンスが問われるので極めるのは難しいです。

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5.ダイアトニックコード

 基本的なジャズでは4音のコードを用いる。たとえばC△に7度の音(ルートのCからCメジャースケールの各音を数えて7番目の音。5度の3度上でありBである)を加えるとC△7(シーメジャーセブン)になる。

5.1 メジャースケールのダイアトニックコード

 メジャースケールから1音置きに4つの音を取り出すと以下のようになる。
 J△7,Km7,Lm7,M△7,N7,Om7,Pm7−5

5.2 ハーモニックマイナースケールのダイアトニックコード

 ハーモニックマイナースケールから1音置きに4つの音を取り出すと以下のようになる。
 Jm△7,Km7−5,L♭△7+5,Mm7,N7,O♭△7,Pdim7

5.3 メロディックマイナースケールのダイアトニックコード

 メロディックマイナースケールから1音置きに4つの音を取り出すと以下のようになる。
 Jm△7,Km7,L♭△7+5,M7,N7,Om7−5,Pm7−5

 メジャーセブン(△7)とセブン(7)は違います!
 メジャーセブンはルートの半音下の音の1オクターブ上です。
 セブンはルートの全音下の音の1オクターブ上です。

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6.テンション

 使用できるテンションは使用するスケールによって変わります。ここでは各コードタイプ毎に使用できる全てのテンションを示しておきます。

・△7:9th,#11th,13th
・m△7:9th,11th,♭13th,13th
・m7:9th,11th,♭13th,13th
・7:♭9th,9th,#9th,#11th,♭13th,13th
・m7−5:9th,11th,♭13th

 9thはルートの1音上,13thは5度の1音上と覚えるといいです。♭がつくと半音下、#がつくと半音上です。
 11thはルートから4度上、#11thはルートから増4度上です。

 ボイシングについては「ジャズスタディ」やその手の本を購入して読んでください。ただし、ギターの場合は一般的なボイシングは押さえることが不可能なものがほとんどなので、何でもありだと思います。

 あと、ベーシストがいる場合はルートの音は弾かないでください。ベースが動けなくなり、後で殴られます。

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7.代理コード

7.1 メジャーキーの代理コード

・トニックJ△7に対してJ7、Lm7、M#m7−5、Om7で代理できる。
・サブドミナントM△7に対してKm7、M7、P7で代理できる。
・サブドミナントマイナーMmに対してK△7、O♭△7、P♭7で代理できる。
・ドミナントN7に対してPm7−5,K♭7で代理できる。
 このN7に対するK♭7を裏コードと呼ぶ。

7.2 マイナーキーの代理コード

・トニックJmに対してL♭△7、O♭△7、Om7−5で代理できる。
・サブドミナントMmに対してKm7−5、O♭△7、K♭△7で代理できる。
・ドミナントN7に対してK♭7、P♭7、Nm7で代理できる。

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8.セカンダリードミナント

 トニック以外のスケール音に対してドミナントモーションする7thコードをセカンダリードミナントと呼ぶ。このセカンダリードミナントのルート音はスケールに含まれる音でなくては ならない。
 ex. 以下にKey of C のセカンダリードミナントを示す。

A7→Dm7,B7→Em7,C7→F△7,D7→G7、E7→Am7

ここでF#7→Bm7−5という7thコードが考えられるが、F#はスケールに含まれないためセカンダリードミナントとはよばない。何とよぶかは忘れた。

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9.K−N

 ツーファイブと読む。Km7→N7、キーがCだとDm7→G7となる。
G7に3度づつ音を積み上げていくとDm7のコードが現れる。
また、KからNへは5度進行である。
さらにDm7はサブドミナントF△7の代理和音である。
以上のことからツーファイブは強い進行であるといえる。

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10.分数コード

 分数コードには2つの種類があります。

(1) 分母が単音のベース音の分数コード
 4声コードのルート以外の音、またはテンションをベース音にする分数コードです。

 ありがちなのは、F/Gとかですね。ベース音がGで上にFのトライアドが乗っています。

 F/G=Dm7(11)

 Dm7に11thのテンションを加えたコードでテンションの11thがベース音になっていると解釈(ルートのDは省略されてます)することもできますし、
 K−Nの強力な進行を和らげたものとも解釈できます。

 Dm7−G7のDm7にサブドミナントであるFトライアドが含まれてますね。Fトライアドの下でドミナントのルート音であるGが鳴っているということです。


(2) 分母が和音で分子も和音の分数コード
 これはあんまり重要ではないと考えているので、ここでは詳しく解説しません。ちょっとだけ例を示します。

 A/G7:これはハービーハンコックの「ドルフィンダンス」に出てくるコードです。
 G7の上にAトライアドが乗っています。Aトライアドの構成音はA,C#,Eです。
 G7の上にG7から見たテンション9th,#11th,13thが乗っているということになります。

 こんなのもあります。
 B♭/G7:G7の上に#9th,5th,7thが乗ってます。
 D♭/G7:G7の上に♭9th,#11th,7thが乗ってます。
 E/G7:G7の上に3rd,13th,♭9thが乗ってます。


 2階建て3階建てとかの分数コードもあるようですが、これについては勉強してません。興味ある方は研究してください。

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11.アベイラブルノートスケール

 ダイアトニックコードには該当するスケールを用いる。曲のコード進行を見て、どの部分がダイアトニックコードで、どの部分がノンダイアトニックかを分析する必要がある。転調する箇所がある場合、どこからどこまでが転調しているかも分析する必要がある。

メジャーコードに解決(4度進行)する7thコードでは、
 ・ミクソリディアン
 ・オルタードドミナント7th
 ・コンビネーションオブディミニッシュ
 ・ホールトーンスケール
 ・リディアンドミナント7thスケール
 を用いることができる。

 マイナーコードに解決(4度進行)する7thコードでは、
 ・オルタードドミナント7th
 ・ハーモニックマイナースケールパーフェクト5thビロウ
 ・コンビネーションオブディミニッシュ スケール
 を用いることができる。

 ノンダイアトニックの△7コードでは、
 ノンダイアトニックコードの第4音がダイアトニックスケールの何れかの音と一致すればイオニアンスケールを用い、
 一致しなければリディアンスケールを用いる。

ノンダイアトニックのm7コードではドリアンスケールを用いる。

ノンダイアトニックのm7−5コードではロクリアンスケールまたはスーパーロクリアンスケールを用いる。



ここまでの内容は理解できましたか?ご苦労様でした。

 3.1で、avoidという言葉を何の前触れもなく書きました。avoidとは、長く音を鳴らすことは避けなさい、という意味です。
 キーがCの場合、C△7のコード上で使えるスケールはCメジャースケール(イオニアンスケール)で、avoidノートはFの音です。F以外の音について、コードとの関係を見てみましょう。

まずは、ルート音Cから3度間隔で音を積み上げてみます。
C:ルート
E:3rd
G:5th
B:△7th
D:9th
A:13th
これらは全てC△7のコードトーンとテンションです。伴奏ではこれらの全ての音を使ってもいいことになります。

Cから順番に並べ直すとこうなります。
C:ルート
D:9th
E:3rd
G:5th
A:13th
B:△7th

つまり、C,D,E,(F),G,A,Bになります。
これはCメジャースケールですね!
Cメジャースケール=C△7+テンション+avoidノート
なのです!


他のスケールも同じです。
分数コードのところで、A/G7という例をあげました。
これは、G7にGリディアンドミナント7thスケールが使われているということです。
Gリディアンスケールは、G,A,B,C#,D,E,Fです。
この中にAのトライアドのA,C#,Eがありますね。
ですから、このようにスケール内の音を組み合わせてコードが作れるんです。

こういう例もあげました。
 B♭/G7:G7の上に#9th,5th,7thが乗ってます。
 D♭/G7:G7の上に♭9th,#11th,7thが乗ってます。
 E/G7:G7の上に3rd,13th,♭9thが乗ってます。
これはG7にGコンビネーションオブディミニッシュスケールが使われているんです。
Gコンビネーションオブディミニッシュスケールは、
G,G#,B♭,B,D♭,D,E,F
です。このスケール音には、B♭,D♭,Eのトライアドが入ってますよね?確認してみてください。

このようにavoidノートを除いたスケールの各音をコードに入れることができる、ということを理解してください。

「アドリブするにはスケールを使えばいいんだ」というのは当たり前すぎます。 「スケール≒コードの構成音」なのですから。


 C△7のコード上で、F以外のCメジャースケールの音を用いたアドリブは、伴奏者が使って良い音(コード)と同じ音なので、はずれるはずがありません。
 Cメジャースケールの音を、いくら機械的に組み合わせても表現できるのはCメジャースケールのサウンドでしかないんです。
 なんか寂しくないですか?


 ビバップはコード進行を細分化して、そのコード進行上でアドリブすることから始まりました。アドリブで使われる音はスケールの音だけではなく、クロマチック、ディレイドレゾルブ、コードが変わる前にコードを先取りしてフレーズを演奏する手法等が多用されました。コードの細分化はジョンコルトレーンの「ジャイアントステップス」に代表されるいわゆるコルトレーンチェンジというコード進行で頂点に達しました。
 1つのキーのX7−T△(2拍づつ4拍)が1秒以下で終わり、トリッキーな短三度上のキーに転調します。2拍(0.5秒)のX7にドミナントで使えるスケールを選択しフレーズを作り、2拍(0.5秒)のT△に解決させ、このT△の中で、次のキーのX7のフレーズに繋がるようにラインを作らなくてはなりません。現在プロで活動しているジャズミュージシャンのほとんどは、とりあえずのアドリブはできると思います。でも、コルトレーンの演奏を超えるものはできないと思います。

 正直に言いますと僕はテンポが120以下でないと「ジャイアントステップス」でアドリブできません。アマチュアの僕の技術なんてそんなもんです。コルトレーンを超えられるわけないんです。
 自分には無理だとわかったので別の表現方法を模索しました。詳しくは以下に書きますが、簡単に言うと普段ジャムセッションで演奏するスタンダード曲のアドリブを別の方法で行うということです。


<↓#1>
 ジャズのアドリブのメロディは多くの場合、8分音符を連続させたのになります。これをラインと呼んでいます。ラインの基本は単音を並べてコードのサウンドをトレースすることです。

 三度間隔のアルペジオを弾く場合、当然コードサウンドを表すことができます。
 C,E,G,BとかE,G,B,Dを8分音符で順番に弾けばいいんです。


 しかし、スケールをそのまま順番に弾く場合、注意しなければならないことがあります。
 できるだけ、強拍にコードトーンまたはテンションを置く、ということです。
こうしたほうが、コードサウンドを表すことができます。
 また、弱拍でも音が途切れる場合は弱拍にコードトーンまたはテンションを置いたほうがいいです。

C△7が1小節あり、8分音符で以下の音を弾いたとします。

C,D,E,F:最後の音が弱拍で、avoidノートで終わっているので×
C,D,E,F,G:最後の音が強拍で、5thで終わっているので○
D,E,F,G:最後の音が弱拍で、5thで終わっているので○
D,E,F,G,A:最後の音が強拍で、13thで終わっているので○

他にも組み合わせがあるので色々考えてみてください。
<↑#1>

どうですか?
理論に拘束されている感じがして、嫌になってきたでしょう?
僕も嫌になってきました。

 実は現在(2003/3/27)うつ病で、去年の8月からギターに触っていないのです。2002年1月から会社を休んでるんです。去年から音楽への興味はなくなっていたのですが、ようやくこのページを加筆する気になって書いているところです。最後にやったライブは去年の3月でした。あの時は上に書いたことを実際にアドリブでやっていました。自分でも呆れてしまいます。これから後に書くことはさらに難しいです。僕自身まだ完全に極めていないです。

 このページに書いてあることは、とりあえず頭で理解するしかないです。

 どうやったらアドリブで使えるようになるのか、ずばりと教えてあげましょう。

 それは「頭の中で鳴った音を瞬時に弾けるようになるまで練習を繰り返し、体で覚える」のです。

 これには膨大な練習時間が必要です。僕はアドリブの方法論も考えながらやってましたから効率が悪かったと思います。実際に演奏するときは、あのフレーズを弾こうとか考えてません。考えてはだめです。
 調子のいいときは無意識というかトランスの状態になって自分が今まで練習したことのないフレーズが弾けたりします。
 前ページや、このページで削除した箇所があります。これは書いてから矛盾に気がついたので、訂正・削除したものです。前ページの始めに書いた削除した箇所はきれい事なんです。
 これは、膨大な時間を練習に費やし、頭の中で聞こえてきた音を瞬時に弾けるように技術を高めた上で初めて語れる話なんです。このことは、どこが矛盾しているか考えた結果、気が付いたことです。病気になる前はまるで義務のようにギターを練習していました。目標を忘れていたんです。練習する目的は「頭の中で鳴った音を瞬時に弾けるようになるまで練習を繰り返し、体で覚える」ことだったんです。


 何となく加筆を始めたのですが、僕は悟りました。目的を思い出したのです。もう少し自分の頭の中を整理する時間が必要です。書きたいことは沢山あるのですが、自分のために時間をつかうことにします。

 でも、このまま終わると皆様に申し訳ないので、僕が何をやろうとしていたのか、それをどうやって実現しようとしていたかの簡単なヒントだけ書くことにします。(実は病気のせいか体がだるく、半分ねっころがりながら書いてるんです(^_^;)。)


 11章で、
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
メジャーコードに解決(4度進行)する7thコードでは、
 ・ミクソリディアン(A)
 ・オルタードドミナント7th(B)
 ・コンビネーションオブディミニッシュ(C)
 ・ホールトーンスケール(D)
 ・リディアンドミナント7thスケール(E)
 を用いることができる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 と書きました。
 キーがCの場合、ドミナントのG7では上記スケールが使えます。

 ドミナントのG7はルート音がトニックのCに解決しようとする性質、及び、不安定なトライトーン(3rdのBと7thのF)がC△7のルートのC,3rdのEに解決しようとする性質を持ちます。
 音楽は、不安定な緊張感(ドミナント)と安定(トニック)を繰り返して進んでいくものです。
 G7というコード自体が不安定なのです。

 上記(A)にはG7のテンションである、9th(A),13th(E)を含んでいますが、(A)の構成音はCメジャースケールと同じ構成音であるため、テンションを使ってもあまり緊張感は生まれません。

 そこでさらに緊張感を持たせるために、Cメジャースケールの構成音以外の音を含む、(B)(C)(D)(E)を使って、ラインを作るようになったのです。これは1940年代後半のビバップのの時代の話です。


 市販されているフレーズ集の本等では各スケールで作られたフレーズが載っています。それを弾いてみてください。ジャズをあまり聴いたことのない人は「ジャジーだな〜」と感じると思います。
 しかし、ジャズを聴きなれてくると(B)(C)(D)(E)のスケールを使ったフレーズでも緊張感を感じなくなります。これは僕が経験したことです。

 もっと緊張感があるフレーズを作るにはどうしたらいいか模索しました。その結果、スタンダード曲上の、U−X−T等を含む1つの調性をTに簡略化し、Tのコードが12のキーの全てのコードタイプに進行可能であることを生かして、自由にコードをリハモしてリハモしたコード進行を想定してラインを作るのが一番効果的だと考えました。
 この方法では確実にコードのサウンドを表現できるラインを作ることが必要です。ですから、<#1>のように「コードのサウンドをトレースすること」にこだわったのです。
 コードのサウンドを表現できるラインにより、調性の内側(インサイド)と、リハモした調性の外側(アウトサイド)をはっきり区別できるようになり、より緊張感のあるサウンドと安定するサウンドのメリハリをつけることができるようになるはずです。
 この方法の概略はアウトサイドフレーズを参照してください。

 <#1>の内容だけでは、組み合わせの数が少なく、パターン化、マンネリ化してしまいます。スケールノートを繋ぐクロマチックアプローチや、ディレイドレゾルブ等を用いることでフレーズの幅を広げることができるはずです。


 結局、コードを細分化することになってしまいました。でも、テンポ120の「ジャイアントステップス」ではアドリブできるので、テンポ120のスタンダード曲では演奏が可能だと考えています。

でも、まだギターを練習する気にならないので、実現するのはまだ先になりそうです(^_^;)。

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