★ネタバレ感想★
ダ・ヴィンチ・コード
ダン・ブラウン
<あらすじ>
ルーブル美術館のソニエール館長が、ダ・ヴィンチの<ウィトルウィウス的人体図>を模した異様な死体で発見された。館長と会う約束のあったハーバード大学のラングドン教授は、警察に呼び出され協力を求められるが、何も分からない。館長の孫娘であり暗号解読官であるソフィーは、これが自分に当てられた暗号であることに気づく。
<感想>
この作品が世界中で大ベストセラーになったというのは、扱っている題材が、キリスト教圏の人たちにとって最大のタブーでありショッキングだったからでしょうね――作品の出来とは関係なく。その一番のキモである「神であるはずのキリストが結婚していて子供までいた」ということがらが、キリスト教圏でない日本人のノンポリなふたばにとっては、フーンって感じ今一つ。――キリストも、仏陀も、天皇も、人間だということは、ふたばにとっては、分かりきったことだからなあ。
主人公たちが大したピンチにはならないからどきどきハラハラもしないし。ピンチになっても第三者の介入で簡単に切り抜けちゃうし。ただひたすら、暗号を解いていくだけでメリハリがないんだよね。それでも古から伝わる聖杯にまつわる伝承に隠された暗号というのなら、歴史的な重みも加わって荘厳な雰囲気も作れるんだろうけど、出てくる暗号って、すべて架空の登場人物であるソニエールが作ったものなんだよね。これだと結末は、作者の自由に作れることになって、歴史ミステリィとしたらやっぱり軽すぎる気がする。その為かヒロインが、聖なる血を引いていると分かっても、全然衝撃的じゃなかった。彼女が架空の人物だからということ以上に、彼女が聖なる血を引いていることを示す暗号に歴史的な重みを感じなかったから。ラングドンが象徴学の権威というなら、もっと象徴的な図形でそのことを示すべきだった気がする。冒頭出てくる最も衝撃的な死体で描いたダ・ヴィンチの<ウィトルウィウス的人体図>も、結局次の暗号のありかを示すだけだしね。
暗号の中味も、キリスト教クイズみたいな感じで、知らなきゃ絶対に分からないというものだから。――まあクリプテックスを開ける最後のキーくらいは、ふたばの知識でも分かって良かったレベルだったけどね。知らなきゃ解けない暗号――っていうのも作品によっては、感銘を受けることもあるんだけどね。……うーん、やはり本作が作品としての面白さに欠けているということなのかなあ。
聖杯が、「聖なる女性」を示すというのなら、聖杯探索とは、人生そのものを示しているのかもしれないなと思いました。人として、自分自身の聖なる女性を探し出して、自分の血を残すこと――それこそ聖杯探索の意味じゃないかと。物語後、ラングドンとソフィーがくっついちゃったりしたら、まさに2人にとっての聖杯探索は完了したといえるんじゃないでしょうか。
聖杯の探求の目的は、マグダラのマリアの遺骨の前でひざまずくことだ。貶められ、失われた聖なる女性に心から祈りを捧げるために、旅をつづけたのだよ
リー・ティーピング
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