★ネタバレ感想★


どすこい(仮)

京極夏彦


 ――内容なんか無いよ。短編集でさ、タイトルだけは名作をもじってるけどパロディともいえない下品で愚劣な意味不明な作品群で、お相撲さんが出てくる話なの(笑)。

 忠臣蔵』から『リング』まで古今の名作を愉快にパロディ化した短編集――と思いきやパロディなのはタイトルだけ、唐突に登場するお相撲さんたちによってすべての物語が崩壊させられる――というほどの内容もなくて、なんか登場人物がどっつき漫才しているとお相撲さんが出てきて落としてくれる、そういう話――ですらなくてそういう「もの」です、はい。だから短編を書いた作者が次の短編に登場していてそれがどうとか――そういう難しいこと言いっこなしで、「くだれねえ!!(笑)」と叫びながらゲラゲラ笑って鼻をかんでクズカゴに放り込んでそのまま忘れる――それが正しい鑑賞の仕方でしょう。

四十七人の力士 新京極夏彦
 本来は先頭集団だったお侍さんも江戸時代になったらお家とか忠義とか名誉とかそういう理屈の為の存在に堕してしまったのに対して、純粋に戦うことを求めるお相撲さんとの対比が――相撲の決まり手48手と本来切り込む筈だった赤穂浪士48人が同じ数だなあとそれだけの話である。お相撲さんが冬の雪の夜に練り歩く姿は妖怪が練り歩いていたというよりおぞましいかもしれません。――そりゃあ、秘密にもしたくなるよな。

パラサイト・デブ 南極夏彦
 『パラサイトイブ』というより『3000年の密室』を思わせる内容。最後お相撲さんに松野が連れ去られるところだけ『パラサイト――』の最後を思い出して、2人はこれから溶け合っちゃうのかな――とかおぞましいことを考えました。連れ去られた今回から登場する編集者・遅塚敬子さんを模したキャラクタが登場しますが、切れた時の女王様然とした凶悪さがもう最高ですね。別にマゾじゃないですが。編集者の内面的葛藤って大変なんだなあ。しかし葛藤しているのは今回だけで他ではほぼすぐ切れます。気持ちいくらいです。

すべてがデブになる N極改め月極夏彦
 「開口部のある密室」!!すごい!斬新!本格ミステリィだ!!――でもこんなくだらない本格ミステリィは初めてだ。「ご飯に餅が載ってます」の力どんぶりには笑わされたなあ。ぷるぷる震える力士型の茸――すまひ茸の描写はおぞましい限り。48進法ってなんだよ(笑)。椎塚さん(遅塚さん)は回を増すごとに凶悪になりますね。でも今回の彼女が1番好きだな(笑)。裏表激しすぎ(笑)。簾ハゲのクセに妙に言葉使いが可愛い南極センセイも良い味出してますね。

土俵(リング)・でぶせん 京塚昌彦
 2部構成になっているので原作に忠実(かも)。呪いの小説の謎も原作よりインパクトがあった(かも)。延々と繰り返されるギャグに吉本を感じた(かも)。唐突に登場するとってつけたようなでぶ専が愉快でした(たぶんね)。

脂鬼 京極夏場所
 意外にオリジナルに忠実。描写とかも。でももうこの変になるとヤケクソだな。太っちょゾンビは良いね。太って血色の良いゾンビ(笑)。これはもうゾンビの新しい形態と与えたいうことで評価したい(笑)。――まあスーパーナチュラルだしな。

理油(意味不明) 京極夏彦
 意味不明じゃないじゃん(くだらんが)。京極夏美ちゃんには騙されたなあ(笑)。オリジナルの「理由」のようなシリアスな客観してんだし(いや客観じゃなかったが)。てっきり京極夏彦氏だと思ってました。いやおかしいとは思ったんだよね。京極夏彦氏が登場するのは次の短編なはずだからさ。でも京極夏美ちゃんってなんだか良いな、うん。名前がさ。小娘作家とか言われちゃってちょっと可愛い感じがします。

ウロボロス基礎代謝 両国踏四股
 メタだね。この話が最初の『四十七人の力士』と繋がってぐるりと輪になったことになります。でも考えてみると、前の短編を書いた人物が次の短編に登場する――つまり_実はこれはフィクションでした」「これもフィクションでした」とフィンクションをドンドン重ねていっているわけで、それがまた最初につながってしまうというのは矛盾しています。――いや別に矛盾したって良いんですけどね。ただタイトルのウロボロスって確か自分の尾を飲み込む蛇のことだったんじゃないかな。――自分の尾を呑み込み続けた蛇は一体どこえ消えるのか?――この『どすこい(仮)』も矛盾をきたして異次元の彼方へ消滅して、「無かったことに」――ということなのかな(笑)。

 

「太った人は――いい人なんだよ、基本的に」

――『脂鬼』京塚昌彦


戻る