★ネタバレ感想★


銀の檻を溶かして

高里椎奈

 


 とある町の一角に存在する古式蒼然な薬屋「深山木薬店」。その店を営む優しげな青年と、澄んだ美貌の少年と、元気な男の子の三人。実は何百年も生きる妖怪で、不思議事件のスペシャリスト!!雪の校庭に残った巨大な妖精の跡で死んでいた少年は本当に雪の妖精につぶされたのか!?その少年の母親のもとを毎夜訪れるのは少年の幽霊なのか!?


 第11回メフィスト賞受賞作。「薬屋探偵綺談」シリーズ第1回。
 探偵役が「妖怪」というとんでもない設定のミステリィ。講談社ノベルスよりスニーカー文庫のほうがふさわしいかもしれないです。

 キャラクターは良いですね。漫画的だしお約束なキャラですが生き生きしている。話を進めるための作者の操り人形なキャラではない、生命を感じます。ふたばお気に入りキャラは、リベザルです。臆病ですぐオタオタするけど、純粋でまっすぐな所がキュートですね。女の子だったらもっと良かったかも。

 

 ただストーリーは完成度低め。キャラの魅力に反して、設定がストーリーに活かしきれてません。「妖怪」であることも、「薬屋」であることも、今回の話にはほとんど関係ない。刺身のつまみたいな感じです。次回では、ぜひ、そのへんのところをストーリーの核の部分に組み込んでもらえたら、それは新しいさになると思うんですけど。

 謎解きの部分も不満です。さまざまな事柄が最後に集約して事件の真相となるわけだけど、どうしてそれが関係してるの?という疑問がわいてきます。つながりが唐突すぎ。親族連続殺人事件の犯人がどうしてこの事件にかかわってるってわかったの?いや、どこから養子を取ったかを調べれば解るかもしれないけど、そのフリがなかった。それとも、ふたばが見逃しただけなのか!?高遠刑事がちらって言っていただけの気が……。どちらにしても印象は薄く突然すぎます。ミステリィって、それをが完全に印象に残っていて、それでも他方へミスリードするって言うのが王道だと思うけど。

 秋の友人の話を聞いた時のリベザルの気持ちは分かります。なんだか好きな人に置いて行かれた気がして悔しいやら羨ましいやら、複雑な気分になりますね。それに対する、ザキの答えがいいです。
「一緒に歩けばいいんだよ」
悔しく羨ましいんなら、そこから抜け出す努力すれば良い。究極の答えってシンプルなものです。

 

「何故自分の見えないところにある世界まで、把握してないと気が済まない?不安になるんだ?何処まで広がっているか、何と何が混ざっているのか。そんなことが分からなくとも、その背後にあるもの全て含めて『彼』なんだ」

――深山木秋


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