★ネタバレ感想★


黄色い目をした猫の幸せ

高里椎奈


 深山木 秋たちストバス仲間がダンボール箱の中から見つけたもの、それは手・足・首を切断された中学生の死体だった。しかもその少し前、秋たち「深山木薬店」に、その少年を「妖怪に食わせてくれ」というやはり中学生の少年からの依頼があった。その死体は、本当に妖怪が食ったものなのか?秋は容疑者として疑われるが……。薬屋探偵妖綺談シリーズ第二弾。


 薬屋探偵妖綺談シリーズ第二弾。
 タイトルがすばらしい。というか、実はこの『黄色い目をした猫の幸せ』というタイトルだけでこのシリーズを買ってしまった。高里椎名さんのセンスの良さを感じます。

 相変わらず、ミステリィとしては弱い。実は複線張りまくりなのだがそれが全然印象に残ってない。隠したのは良いけど隠し方が悪い感じだ。ヒントを隠す時、隠した痕跡を残す。ここに何かありそうだ、と思わせることが重要。それが謎解きの時に読者に「ああっ!!」と唸らせる秘訣であろう(どうも、えらそうだ)。どうも重要なことをサラリと済ませてしまっている気がするのだが……。

 しかし、ミステリィとして読まなければ非常に面白い。今回は、秋と座木やリベザルとの出会いや、秋の過去も出てきてこれぞシリーズ物の醍醐味といえますね。高遠・葉山・衒崎の上流坂署トリオと秋・座木・リベザルの妖怪薬屋トリオのやり取りが魅力です。この作品の魅力はそれですね。キャラクター物。ジュブナイル。というとチープな印象があるけど、この軽快さは魅力です。
 今回、ふたばは「秋」という奴が好きになりました。前作は鼻持ちならないイヤな奴と感じたのですが。「知らない。僕がそう思ったからそうした、他は知らない」。ふたばの理想な生き方です。正義ではなく、悪でもない、我が道を行く男・深山木 秋。
 「サトル」には、むかし「ハル」として知られていたようですが……。

 お気に入りの『黄色い目をした猫の幸せ』というタイトルの意味を考えたのですがよくわかりませんでした。「猫」からイメージされるのは「勝手気まま」「我が道を行く」で、とすると「秋」のことでしょうか?でも「黄色」は、「不安」を花言葉に持つ「ダリア」が、黄色い時は「あふれる喜び」になるのことからでしょうし。すると秋は関係ありませんね。
 ダリアと関係するのは「佐倉享菜」ですね。夫への「不安」から凶行に走り、秋の言葉で「あふれる喜び」を得た。「いいえ、あの人が私を見てくれていた。これ以上の幸せはないでしょう」。そういえば佐倉享菜も、すべて夫中心の考えをするワガママさを持っていますね。

 

「声は思ったことを表現する為の、最も有効な道具だよ。自分に自信がない人間には、目なんかじゃ全然足りないのさ」

深山木 秋


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