★ネタバレ感想★


クビキリサイクル青色サヴァンと戯言遣い

西尾維新


<あらすじ>

 絶海の孤島に隠れ住む財閥麗嬢が"科学・絵画・料理・占術・工学"の5人の天才女性を招待。僕は工学の天才少女・玖渚友の付き添いとしてこの島にやってきたが、天才のひとりが首を切られ密室状況で殺されてしまい事件にまき込まれた。警察を呼ばないという麗嬢の言により、僕は僕と玖渚の身を守るためと、それにとっとと帰るために事件を解決に乗り出すが、またもや密室で天才が首を切られ殺された。


<感想>

 ノリはJr.文庫世代向けのミステリと行った趣。つまりキャラクタで見せるといった部分がですが。個性的なキャラクタがたくさん登場するけど、それもtake氏のPOPなイラストに飾られて本文中もどこかコミックで極端なキャラクタ造形である。――きっとそれが鼻に付くという人もいると思う。特に本格ミステリィファンにとっては。ただ、マンガで育ったふたばにとっては全然OK。むしろ、物語を読んで人の心に残るのは話ではなくキャラクタである、とすら思っているから。それがコミカライズされた人々であることについても、それは寓話と同じことだと思う。単純化されたものの中に真理が光る道理。今作でのキャラクタが描いたものも、それは人間に他ならないと思うから。……なんていい訳めいたことを書いてますが、結局、「彼ら」が好きなんだよね(笑)。もう主人公ともう一人以外は、女しか出てこないのがグーでしょう。ふたばはヒロインの玖渚友よりも、戦うメイドさん千賀てる子さんがお気に入り(笑)。無口で嘘吐きな性格も良いし、なによりメガネだしね(笑)。あ、ミステリィとしてもまともに本格していると思いますよ。まあ最初の事件は分かり安すぎたけど、それ以外は分かりそうで分からないという微妙なトリックが、分かった時に「ああ、なんでそれに気がつかなかったんだろう」と思えたし。クビキ「リサイクル」とか(笑)。それに最後のどんでん返しも良かったしね。

 ――そして今作が描いたものは、殺人事件を契機に、近頃の若者特有の世界に対する諦観に包まれた主人公・いーちゃんが、自分にとって唯一大事なものを見出す(あるいは気付く)までを描いた「青春エンタ」だと思う。「戯言」というのは、きっと自分の中でけりをつけて終わりにしてしまうあるいはあきらめてしまうための言葉ということだろうか。無気力というわけではないにしろ、世間に対してそして自分に対しても関心を持てないその場のノリでしか動けないという感性が、きっと誰――とくに若い世代の中にはきっとあると思う。何かを契機にすべてが変わるわけではないにしろ、いーちゃんのようにそれでも立った一つでも自分にとって[確かなもの]を見つけることができるのだとしたら――。

 それはきっと幸せなことだろう。

 

たとえば君は何のために生きているのかと訊かれたら、僕は念のためだと答えるだろう。人が生きている理由なんてその程度のものだし、大抵の人はその程度のものなのだ。
 だけど。
 だけども、
玖渚は違う
 言葉にするなら、そんな感じ。


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