★ネタバレ感想★
ペルソナ探偵
PERSONA DETECTIVE
黒田研
<あらすじ>
作家を志すものが集う<星の海☆チャットルーム>。メンバーが会誌にそれぞれ自分たちが体験した「事件」を披露する中、メンバーの1人べガが自殺した。メンバーの中の誰かがべガの書いた事実を元にした小説のことで脅迫していたのだ。個人情報は一切知らないはずのメンバーの一体誰がべガを自殺に追い込んだのか!?
<感想>
第1話から第3話の3つの短編、そして幕間の編集後記とインタールードがピースとなり、それが最終話で集まって1つの大きなジグソーパズルとなる。とても綺麗で見事な絵を描いたなという感じ。
第1話 フィンガーマジック
いつも同じ行動を取っているとスイッチの上下が違うだけでも微妙な違和感があるものですよね。頭のてっぺんのに付けたワッペンを上から見下ろすしか確認が出来ないといった所とかシンプルながらとても綺麗なパズラです。この話の中のスピカさんは個人的に好み。なんだか「周りと違う」感じが良いですね。
第2話 殺人ごっこ
殺人ゲームのシュチュエーションが面白いですね。さらにそれが仕組まれたペテンだったというところも。最初なぜミステリィ研究会でなくて演劇部なのか疑問に思ったけど、きちんと意味がありました。目的も面白かったけど、2人ともお互いが認識して撃ったというわけではないようなのでいまいち説得力に欠けます。ただたんに仲直りさせることが目的だったのかな。高森さんがお気に入り。やはり周りとは隔絶した雰囲気を持つ人って好きです。「特別」って感じがします。
第3話 キューピッドは知っている
伝説と境遇が重なる物語というのは可愛らしいですね。方角や季節が違うというパズラは個人的には重箱の隅を突つくようであまり好きではありません。それよりも面白いと思ったのは手記(日記)がカペラに届く経緯。普通こんな所は注目する所ではないだろうけどね。もちろん出来すぎているんだけど、それだけに上手いこと考えたなと思いました。
最終話 5人+ひとり
チャットルームのメンバーということでテーマは匿名性。基本的にネット上のコミュニケーションは文字だけの――それも手書きではなく出来合いのフォントによる文字だけのもの。お互いの情報を伝える要素が極端に少ない、自己申告に頼ってるほかないというのが特徴だ。つまり自由に自分を偽れる。自分とは違う理想化した自分になれるのだ。ネットワーク世界とは誰もが容易に仮面を被れる架空の理想都市だ。カストルでありポルックであったこと、べガが男であったこと、どれもネット上の架空世界であったからこそ破綻なく出来たことだ。ただ、架空の人物に容易になりすませられるからこそ便所のラクガキのような無責任なことを書き捨てることもできてしまう。自分の書いたこと、行ったことに責任を負うことがない――匿名性に守られた世界でもあるのだ。それが悪いということではない。いくつもの人物を作り出せるところがことがネットのなによりも恐ろしいところでもあるし他のないよりも変えがたい魅力的なところでもある。匿名性に守られているからこそ自由に自分を出せるということもあるだろうから。――ただその匿名性を悪用して現実にまで持ち込もうとしたことが事件の原因だった。そこがこの物語の肝だと思う。
「亜弓が愛したのは
本当の俺じゃなくて、べガとしての俺だったから……」――河合龍一
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