★ネタバレ感想★
τになるまで待て
森博嗣
<あらすじ>
森林の中に佇立する超能力者・神居静哉の別荘「伽羅離館」に、資料調べのバイトの為にやってきた加部谷・山吹・海月の3人組。神居静哉による「異界」へ行く超能力を見せられたあと、その神居静哉が密室の中で殺された。さらに屋敷自体の扉も密閉され彼らは外へ出られなくなってしまう。――Gシリーズ第3段。
<感想>
またまた登場、真賀田四季の影!! ――というわけで、肝心の(?)事件の方は本当にオマケになってしまっていますね(苦笑)。孤立した洋館での事件だし、プロローグなんかミステリィとして凄くケレン味があって、「おお、これは何ごとか!」と思ったんだけど(苦笑)。犀川センセイ登場で5分で解決だしなあ(笑)。
動機を言及してもしょうがないという態度は、森ミステリィの常套ですけど、本当に一切なにも言及しないGシリーズで(笑)。――でもそれはきっと真賀田四季に関係あるんだね。すべてが繋がっているのが森ミステリィだけど、Gシリーズはすべてが本当に一つの事件――というか現象なのかもしれないと思った。記号の謎もそうなのかも(意味がない確立が99%だが)。すべて真賀田四季という現象。彼女が何をしようとして、どこへ行こうとしているのか――。もうもうここまで来たら、森博嗣ファンとしては、とことん真賀田四季を追って欲しい。――森博嗣大河ドラマと化してもほしいと思うね。
まあ本作の――かろうじての――テーマはと聞かれたら、それは「観測」ということになるのでしょうか。すべての自然現象も、超能力も、手品も、殺人事件も結局すべての現象は、観測する者との関係によって、「存在」するのでしょう。自然現象は人がいなくたって起こるけど、観測するものがいない現象は、あってもなくても意味がない。そして観測する者がいるということは、その観測に観測者の思惑が入り込む余地があるということです。同じ星空を見上げても、かつては星々が地球を回っていると思われていたように。そしてまた現象自体にも思惑があるかもしれないということ――自分自身をどう示すか、あるいは自分自身でないように示すかということもあるということですね。
真賀田四季もいつのまにか恐るべき秘密組織のボスみたいな存在と化しているけど、それを真賀田四季が望んでいるわけではないでしょう。それを望んだのは周りの人間。でも彼女を祭り上げて組織を作った人間が望むように自分を見せてはいるでしょう。真賀田四季がその組織を利用する為に。
あと最後に言及されていた探偵・赤柳初朗の正体なんですが、じつは読んでいる途中は赤柳さんって保呂草さんじゃないかと思っていました。でもよく考えてみたら犀川センセイも萌絵さんも保呂草さんを知っているんだよね。じゃあ、いったい誰でしょうか?
「思考というのは、すでに知っていることよって限定され、不自由になる。(中略)まっさらで素直に考えることは、けっこう難しい。重要なことは立ち入らないことだ」
――犀川創平
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