★ネタバレ感想★


puzzle

恩田陸


<あらすじ>

 孤島の廃墟で、3人の死体が発見される。一人は感電死、一人は屋上で墜落死、一人は餓死。同じ孤島でほぼ同時に死に3人がそれぞれ関連の無い記事のコピーを所持していた以外接点の見えない3人の死は何か関連があるのか? 孤島を訪れた検事・黒田志土と関根春は事件現場を巡りながら真相を追う。


<感想>

 一見、それぞれが脈絡の無い5つの記事から始まって、最後にはそれが一つの「形」を見せる。なるほど「puzzle」(パズル)とはよくいったもの。志土と春が巡る廃墟の描写と和人と志土が眺める嵐の描写が秀逸。静と動の描写で対照的なのに、共に人の世界の終ってしまったような静けさと緊張を感じた。

 和人の「死」に引きつけられて集まった4人だけど、ある事柄に引きつけられそこに何か価値を見出すののは、結局その人が抱えた願望の影に過ぎないのかもしれない。――雲に写った自分の影を「さまよえるオランダ人」だと思ったように、ただの瓦礫のはずの廃墟に人の生と死の息吹を感じるように。事実を知ってしまえば、はたからみたら、「何だ」と思えることもそれを「さまよえるオランダ人だ」と思っている人にとっては宝石箱のように価値がある。若いころはそんな幻を否定しつづけた和人が、自分の「死」に際して人を集めて見世物にしたのは、そんな連中をあざ笑う為だったのか、それとも自分の「死」に何か価値を見出したかったためなのだろうか?

  

 俺たちだって、いつもこの不確かな世界という海をさまよっているんだもんな。

――黒田志土


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