★ネタバレ感想★
天才龍之助がゆく!
柄刀一
<あらすじ>
温泉へやってきた天地光章&龍之介と長代一美の3人は、地元で有名な幽霊館と呼ばれる廃ビルで浮上する女性の幽霊を目撃する。さらに幽霊館の中では3階から落下して消えた幽霊が。――翌日発見さ女性の死体は、その落下した女性で殺人現場は彼らが訪れた幽霊館だった。――天才龍之介シリーズ第3段。
<感想>
「幽霊」という素材は好み。怪異がいかに現実に落ちるのか――その鮮やかさを期待していたんだけど、残念ながら面白く感じられなかったのは、たぶんトリックの「方法」に固執して「なぜ」そのトリックが用いられたのかの部分が置き去られているからだと思う。せっかく現れた幽霊もひとつ目は偶然そう見えただけ二つ目は単なる悪戯でしたじゃ面白くありません。――というか、ふたばミステリィにおいては「なぜ」の部分に「物語」があると思っていますから、そこがおざなりにされたミステリィはミステリィではない、パズルの問題文が多少長いやつとしか思えません。ミステリィとはトリックが主体となる物語かもしれませんが、でもあくまで「謎が導く物語」なはずですから。じゃあその物語性を犠牲にして(かどうかは知らないけど)まで見せた今作のトリックが優れているのかといったらそれもちょっと疑問。いつも通りの物理トリック――は良いとしても、そのトリックにセンスオブワンダーが感じられません。ミステリィのトリックの面白さって、発想の転換――常識に縛られた思考が覆る瞬間の驚愕にあると思うのです。残念ながらこの幽霊を出現させたトリックには、その覆る部分がなかったですね。ライトの点滅が順次落下して幾3人を一人の女性が中空に登っていくように見えたというのは、その驚愕がわずかながらありますが、それでも知識をそのまま披露しただけという感じで、センスオブワンダーとはいいがたい、もうひと工夫ほしいというのが正直なところ。実は一番最初のイタリア人の謎(?)が一番センスオブワンダーを感じました。単純ながらこれが常識が覆る瞬間――センスオブワンだーというものです。
といろいろ書いてはいますが、やはりこのシリーズ好き(笑)。今作が面白くないと感じた理由の半分くらいは、龍之介くんがずっと気絶して出番がなかったからだったりして(笑)。
両者の認識のそのギャップ
の中で、お年主は消えてしまったというわけね