★ネタバレ感想★


瞬間移動死体

西澤保彦


<あらすじ>

 有名作家である妻に食べさせてもらっているヒモ同然の夫。妻にいじめられることにむしろ喜びを覚える日々だったが、妻の何気ない一言から、ついに夫は妻を殺すことを決意する。今こそひた隠しにしてきたテレポーテーションを使い完全犯罪を――と意気込む夫だったが、その制約の多い超能力のせいで、べつの殺人事件に巻き込まれることに。


<感想>

 毎回、どんな趣向のミステリィを見せてくれるのか楽しみな西澤センセイのSFミステリィモノ。今回はテレポーテーションを使って殺人の犯そうとするも、まったく関係のない死体を運んでしまうという趣向。でも、この能力の制約を少し考えると真相に至るのは割と簡単な気がします。あるいは少しも考えない人でも、何となく誰が犯人か分かってしまうということころがこの作品の弱点でしょう。
 西澤ミステリィとは「パズラー」と呼ばれる論を(強引に)展開していって真相に至るという形のミステリィ。それゆえにわりと(強引ではあっても)理詰めに話が進むわけで、淡々としすぎて面白みにかけてもよさそうなのだけど、それがそうならない。なぜか?西澤ミステリィ一番の面白みとは、もちろんそのぶっ飛んだ設定もさることながら、その論理が最後に至る結論があまりにも意外で最初の設定以上にぶっ飛び具合でいるからなのだ。示された証拠を道しるべに正確に道を進んできたはずなのにまったく思いがけないゴールへとたどり着いてしまう、その驚き。それこそ西澤ミステリィの真骨頂。けど、この作品においては、先に書いたとおり、分かり安すぎる。その分、驚きが少ないんだよね。

 むしろこの作品の面白みって、完璧なはずの計画がどんどん想定外のことが起こってドミノのように崩れ去り最後には無関係な死体まで現れちゃうという、この亭主のにっちもさっちも行かなくなる様子にこそあるのかもしれない(笑)。テレポーテーション能力の不完全さが、パズルを作るための制約としてではなく、違う犯罪を引き起こしてしまう部分にあるのかも。
 あるいは登場人物の愛情の倒錯具合かな(笑)。あんな我侭で意地悪な奥さんの景子さんがなぜこれほどもてもてなのかと疑問に思いかも知れませんが、――ふたばは結構かわいいと思うんですけどね(笑)。

 

そう。
何もかも上手くいくのだ、多分。
作家になりたいという
俺の夢以外は

 


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