★ネタバレ感想★


死者は黄泉が得る

西澤保彦

 


<あらすじ>

 死者を甦らせるSUBREと記憶を消去し共通の「常識」だけを残すMESS。2つの装置のある謎の屋敷で生ける屍と化した女性たちがは一切の記憶を失ったまま、仲間を増やしながら生活していた。その隣町ではかつてのハイスクールのクイーンを巡る連続殺人が起こっていた。2つの出来事にどんな関係があるのか?


<感想>

ふたばが一番意外だったのは、連続殺人の犯人が誰かということでも、最後に告げられる名前の意味でもなくて、実は謎の屋敷で出来事「死後」編で、時系列が過去へ向かっていると思いきや実は時間軸どおり未来へと向かっていたということころでした(笑)。ここに一番ミステリィを感じました。勝手に感じたんだけど。だんだんと過去へ溯っていってこの屋敷の謎がわかるのだと思いこんでいましたからね(笑)。

 最後で告げられる名前の意味は、実は「インタルード」でミシェルによって墓から掘り起こされて復活させられた女性がジュディだったということでしょうね。クリスティンがミシェルではなくジュディを最後に残したのは――やはりミシェルよりジュディとの関係のほうが深いから。理由として指摘されているように、ハイスクールでどんな男からも崇めらるクイーンだったクリスティンとしては、自分はかつての美しさが見る影なく老いさばらえているのに、彼女より格下だったはずのジュディがいつまでも若く美しいままでいることが許せなかったのでしょう。ミシェルも立場としてはジュディと同じだけど、ミシェルは弟の同級生、ジュディは自分の同級生。クリスティンの立場としたらやはり頭にくるのはジュディのほうですよね。途中まではジュディが推理した通りだったけど、屋敷にジュディが昔と変わらないままの姿でいることを知り、ミシェルのことなどどうでも良くなったのでしょう。彼女のすべてを否定してやりたい、だから記憶がないのを良いことに、彼女をミシェルとして葬り去ろうとした――というのがふたばの考え。

 このアメリカ映画などでよく出てくる典型的なかつてのハイスクールクイーン――人生の頂点がハイスクールで、あとは昔を懐かしんで「こんなはずじゃなかった」と後を振り帰るばかりの人生を送る彼女の悲哀(?)が事件の真相に深くかかわってくるという部分が西澤ミステリィらしく変わった目の付けどころだと思いました。

 

 「私たちが、年をとらないと、いう事実こそ、まさに、あなたにとっては、一番許せないことなんじゃなくって?“おばさん”

――ジュディ・フェイバ(?)


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