ALS患者の在宅療養を円滑にすすめる為に・・・
在宅療養者のQOLを高める為には、療養者自身が自分の病状や障害の程度を正しく認識し、どのような療養生活を送りたいのか、即ちどう生きていくのか、希望、目標を持つことが大切であり、又、それを実現させる為に、日々の暮らしの中で、誰にどのように支えてもらうのか、自分の問題として考え、それらの気持ちを家族を含めた支援者に伝えていくこと(意思表示)が大切と思います。
普段私たちは気持ちの表現方法として、言葉、表情、態度など意思伝達の手段がありますが、ALS患者さんは病気の進行によりこうした意思伝達能力が徐々に障害され、コミュニケーションレベルが著しく低下します。“気持ちがうまく伝えられない、伝わらない”ことで誤解も生じやすく療養者と支援者双方に負担が掛かりストレスになってくるのも事実です。介護人が定着しない要因にもなっています。
ALS患者の在宅療養を円滑にすすめる為にはまずこのコミュニケーション障害を乗り越える努力を療養者と支援者双方に必要だと思います。コミュニケーション手段は療養者の残存機能を生かし、活用する方法で筆談、指文字、読唇法、文字盤などが主にあげられますが、大切なことはそれぞれの療養者が選んだコミュニケーション方法に介護者や関わる人たちが如何に合わせる努力をし、慣れて行けるか、又療養者自身がそれを待てる(根気よく伝える)余裕があるかだと思います。
つい慌ててしまったり緊張したりで誰もが始めからスムーズにできることではありません。どんな場合も療養者の目の表情をしっかり読み取り、真剣に聞くという態度が信頼関係を築き、コミュニケーションレベルを高めることになると思います。療養者の気持ちがきちんと伝わり、日々の暮らし方や生き方が支える側の目標にもなれば在宅療養は円滑にすすめられることでしょう。
ALS患者さんが安心して在宅療養生活を続けるには殊に難病を理解した介護人、看護者の確保が必要です。今年は都の施策として、難病の介護人育成の方針が出されましたが、しかし現実にはまだまだ困難なことで、当事者に不自由や我慢強いられているのではないでしょうか。又、介護・看護にたずさわっている人達のなかには様々な不安や疑問とに直面しながら負担に感じている人も少なくはないでしょう。こうした支援者が相談相手もなくいたずらに療養者から遠ざかるのではなく、先に述べたコミュニケーション能力をフルに活用し、そのつど療養者自身に確認し、教えていただきながら、介護・看護することが大切であり、そうした双方の努力がいい意味での共働関係を作り上げ在宅療養を円滑に進めていく秘訣ではないでしょうか。
いずれにせよ、ALS患者が在宅療養生活を送るにはこうした当事者間の努力だけでは限界があり、地域全体でサポートするシステムを構築していくことと、難病ケアに関わるマンパワーを育成することが早急に求められています。
訪問看護婦(練馬区医師会訪問看護ステーション)中村記久子