ある日。
ジャンク屋(っていうか秋葉原の秋月電子)で液晶モニタが売られているのを見つけた。
たまにアクショ●バンド等の雑誌で紹介されている、不要になったパチンコ台から外されたものだ。
幸運にも普段あまり見かけない4インチのもの(ついでにTFT)で、値段も2,700円と安かったので買っておく。
この時は、何に使うかなんて考えてもいなかったわけだが。
とりあえず、買ってすぐに添付されているデータシートに目を通す。
入力はアナログRGB(15KHz)、同期信号は混合同期(TTL負論理)、電源は+12V。
電源は家に転がってる適当なのを使うとして…、15KHzのRGB信号の出る機械なんてあったっけ…。
あるな。プレステとサターン。
我が家ではPSとSSは電波新聞社製「XRGB-1」経由でPCのマルチシンクディスプレイに接続しているのでRGBケーブルはある。というわけで、21ピンRGBのコネクタがあればPS&SSと接続出来そうだ。
というわけで、21ピンRGBのコネクタも買っておき、その日は家に帰った。
早速つないでみる。
とりあえず、21ピンRGBコネクタのピンアサインは、XRGB-1のマニュアルに載っていたのでそれを参考にとりあえず普通に接続。
プレステを接続し、電源を入れる。
画面が白くフェードイン。そして、「Sony Computer Entertainment(R)」のロゴが表示された。
「おお!映った!」
でも、なんかおかしい。画面が横にブレて表示されている。
そして次の瞬間、「PS」のロゴ画面が……
「めちゃくちゃ、流れてる………」
そう。同期が取れないらしく、画面が高速で流れまくる。
なぜか。もう一度液晶モニタのデータシートを見てみる。同期信号は、「混合同期(TTL、負論理)」と書いてある。
が、XRGB-1のピンアサイン説明には「混合同期(1Vp-p)」と書いてある。
「TTL、負論理」という説明からすると、液晶モニタの要求する同期信号は、5V振幅の矩形波
だということが解る。ただ、XRGB-1の要求する同期信号は、「1Vp-p」としか書かれていないので、
プレステから出ている同期信号がどういうモノであるかは良く解らない。
オシロスコープで測れば解る事なのだが、我が家にはオシロスコープがない。
仕方ないので、会社に持って行って会社のオシロスコープで測る事にした。(ぉ
日曜日の出番は、営業所に一人なので気兼ねなく備品を使用出来る。(ぉ
さっそくプレステを取り出し、オシロスコープにCSYNC端子を接続。
電源を入れ、波形を見る。
「こ、これは・・・」
どっかで見たような波形……そう、これはNTSC信号(普通の映像信号)だ。
記憶だけで判断するのは危険だと思い、一応黄色のRCAコネクタ出力と波形を比較してみた。
………やっぱし、同じだ(汗)
なんで同期信号出力からNTSC信号が出てるんじゃ〜!!
などと怒っても仕方ないので対応策を考える。
とりあえず、秋月電子にはNTSCを15KHzのRGB信号に変換するオリジナルキットが売っている。液晶モニタのデータシートにも、これを使えば映像を映す事が可能と記述されている。
ただ、単純に繋いだ場合は一旦NTSC信号になるわけで画像は劣化する事が予想される。それに、そんな事をするくらいだったら21pinRGB端子を使う必要もない。できればRGB直結で繋ぐのが望ましい。
そこで、同期信号だけはNTSCから分離したものを使う事が考えられる。
NTSCの同期信号とRGBの同期信号が同時に出ていると言う保証はないが、プレステ内部が低コスト生産を目指して設計されているならば同時に出ているだろう。
というか、わざわざ別回路にするのは愚かでしかないとも言えるが………。
というわけで、NTSC→RGBコンバータを秋月で買って来て作成。これがよくできたキットで、基板も専用の非常にデキのいいもの。(表には部品番号と定数が印刷され、裏面のハンダが不要な所はレジスト処理されている)
とりあえず組み、NTSCをRGBに変換してそれを映してみる。
結果はバッチリで、1万円以下の廉価版液晶テレビなど足元にも及ばない感じ(マジ)。
そして次に、元々の目的の「同期信号だけコンバータの出力を使う」接続にしてみる。
これまたバッチリ。かなり鮮明に表示される。
そんなわけでとりあえず映るようにはなったのだが、こんなバラ組みの状態で使う訳にも行かない。というわけで、ケースへ組み込むことにする。
ついでに、21pinRGBからは音声信号も出ているのでアンプとスピーカも内蔵して音も鳴るようにしてしまうと便利かもしれない。さらに、NTSC→RGB変換回路があるにもかかわらずRGB接続しか出来ないのは空しいので入力を切り替えられるようにしたい。
と、いうわけで配線は下図のようにすることに決定。
ちなみに、上の「アンプボード」の回路は、NTSC→RGBコンバータに内蔵されてるアンプ回路と同じ物を2つ作ってステレオ仕様にして作ります。
総製作費は7千円程度。
実は液晶ユニットを作っている時にある事で少し迷った。
それは、液晶ユニットに電源を内蔵するかどうか。
内蔵してしまえば外部に安定化電源をつながなくて済むのでスリムに扱うことができる。
しかし逆に、電源を内蔵してしまうと100Vがないと動かせない事になる。
ケースのサイズも、電源を内蔵するにはすこし厳しいかもしれない……
というわけで結局は、製作が楽で柔軟性もある電源外付け方式にする事にした。
これなら、+12Vの電源さえあれば動くので、車の中や屋外でも(バッテリーを用意すれば)使う事ができる。
しかし、何の画像を映すか、という問題があった(笑)
そこで考えたのがゲーム機。屋外でプレステとかやっちゃうと非常にイカスと思ったのである。
というわけで、プレステを12Vで駆動出来るように改造する事にする。
プレステも所詮は電子機器なので、内部ではAC100VをDC5V等に変換してから使っているはずである。その事を調べる為にプレステを開けると……
非常に解り易い構造になっていた。
裏面から黒いネジ5本を外すと、上面カバーがまるごと外れる。
中は、大きく2つに分かれており、左が電源部、右がメイン回路となっている。
メインはさらにCD-ROMドライブ、メインボード、カード・パッドコネクタ部に分かれるがここでは気にしない。重要なのは電源部。
プレステ背面から100Vを入力し、出力には7ピンのコネクタが付いている。
要はこの電源部を、12Vの入力で7ピンコネクタから同じ電圧を出すものに換えてしまえばそれで終わりだ。
そのためにはまず7ピンコネクタの出力電圧を調べなければならない。
適当にテスタで測ってみた結果、次のようになっていた。
ここで問題発生。
「謎」の所が1ヶ所あったのだ。
どのように謎かというと、まず電源部だけ切り放して電源を入れた状態で測定すると、出力無し。さらに、メインと接続して測ると、7.2V。
よく解らない。
が、試しにこの端子だけをメインに接続しないで電源を入れると……
問題なく動く(爆)
さらに、3.6Vの片方を抜き、GNDを1本残して抜いても動いた。(笑)
(後日談:「オレ」さんという方の話では、これはリセット信号線だそうです(^^;)
というわけで、とりあえず3.6Vと7.2Vがあればプレステは稼動すると言う事が判明した。
あとは、入力12V、出力3.6V&7.2Vの電源ユニットを作れば良い。
こういう時に便利なのがLM317という3端子レギュレータ。外付け抵抗の組み合せで1.2V〜の安定化電源が簡単に作れるスグレモノ。
今回使ったのはLM317
Tという1.5Aまで流せるタイプ。
とりあえず、回路は下図のようにする。
各出力は、VRで±0.75Vの調整が出来るようにしてあります。あとは基本回路をそのまま使った感じです。
3端子レギュレータがかなり熱くなるので、ヒートシンクが必ず必要です。
元の電源ユニットとLEDや電源スイッチなどの位置を合わせ、かつヒートシンク等がケースに当たらないように取り付け、回路を組み上げます。出力端子には普通のショートピン端子を使えば元のケーブルが刺さりますが、同じコネクタを探して来て付けるとより一層イカス出来になるでしょう。
で、組み上げたのがこれ。
左が元の電源ユニット、右が12V入力の電源ユニットです。
基板サイズ、穴の位置も同じにしてあります。
電源入力のコネクタも元の100V入力と同じ場所に付けたのでプレステのケースにはキズを付けずに済みました。
接続する前に電源ユニット単体で電源を入れ、出力電圧の調整をするのを御忘れなく。
あとは、電源ユニットを新規のものに交換し、組み上げます。
バッテリーは、昔あるジャンク屋で500円で買った12V2.7Ahのものがあったので、これにてきとーなケーブルを取り付けて、自由に接続できるようにしました。
このバッテリーから出力を2つに分け、液晶ユニットと改造したプレステに12Vをブチ込みます。あとはRGBケーブルを接続して電源を入れればモバイルプレステが稼動!
テストしてみた結果、フル充電で35分くらい動きました。
ちなみに使用ソフトは「ACECOMBAT2 (C)namco」でした。(笑)
電圧が足りなくなると、CDが読めなくなり、リトライをくり返し始めます(音でわかる)
バッテリーがジャンクなのでちょっと弱ってるのかもしれませんが、まぁなんとか実用になるかも、という程度のレベルだと思います。
もっと長く動かしたければ、電源部の回路を頑張ってスイッチング方式にすれば発熱/消費電力共に押さえられると思います。
あとはプレステを背負えるようにして、バッテリーを腰に付けられるようにし、液晶を売り子式に持てるようにすれば歩行中に遊べます(爆)